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子どものヤル気を引き出す親の言葉力

教育・子育て

子どものヤル気を引き出す親の言葉力

子どものヤル気を引き出すにはどうすればよいか。

親の皆さんからよくこのような質問を受けますが、これは端的に言って子どもの長所をホメることに尽きます。

親というのは大体子どもをホメるより叱ったり小言を言ったり、欠点を責めたりのほうが圧倒的に多い。その割合は恐らく1:9くらい(笑)ではないでしょうか。
中には子ども時代親から1度もホメられたことがないまま育ったという人も聞きます。

そういえば私も親―特に母親―からほとんどホメられた記憶はなく、ナマケ者だの算数ができないだの、お調子者だの散々言われ、おかげで中学生になるまで自分を人より劣ったバカ者だと信じていました。

話を戻すと子どもがヤル気を見せない、物事に意欲的にチャレンジしなくなるのは、簡単に言えば欠点や弱点を指摘され続けることで自信を持てないことにあります。

だから自信を持たせるにはホメればよいのです。簡単ですね。

まず長所をホメよ

分かりやすいところではまず子どもの長所をホメて下さい。足が速いのであれば「すごい、陸上選手になれるよ」絵がうまければ「画家になれるかも」少し大きくなれば「お前の話し方は筋道が通っていて分かりやすい。論理的思考力がある。」でもいいでしょう。特に10歳くらいまではホメまくり戦術を駆使しましょう(笑)。

必要なことは親が素直になることです。子どもの長所は至るところで見つけられます。

ホメてばかりで調子に乗ったら困る、とか今のうちに欠点を改めないと後で大変なことになるとか余計な取り越し苦労はやめることです。子どもの良いところを表現するのに照れたり親バカなのじゃないかと変に謙遜する必要はありません。

親から認められるのは子どもにとっても嬉しいものです。少しオーバーなくらい長所をホメましょう。

「ウチの子そんなホメるところあったかなァ」「ダメなところばかりで良いところ見つからない」などという人がいますが、そういうときはむしろ欠点―短所―こそが長所かも知れないと考えてください。

たとえば、落ち着きがない子にオッチョコチョイとか思慮深くないと指摘するのでなく行動力がある、フットワークが良いとホメることも可能です。
逆に動作が遅い子は慎重とか、朝起きられない子には夜の集中力が高い(笑)などいくらでも言えます。(この手法は後で述べますがリフレーミングと呼んでいます)

以前にも話しましたが人間の長所と短所は表裏の関係にあります。(「子育てで大事なポイント セルフイメージを高めるとは…」「朝起きられなくてもいいじゃないか!」

子どもの様子を少し俯瞰して見れば欠点と思えていたものの裏側に、長所を発見することは難しくありません。ぜひやってみて下さい。

結果よりプロセスを見る

子どもがなかなかヤル気を見せないのは、このように欠点矯正による自信喪失が大きいのですが、もうひとつ親が知るべき重要なポイントがあります。

それは結果よりプロセスを見てあげることです。

具体的には、まず「できていないところ」より「できているところ」を見てあげることです。
たとえば親は子どものテストなどが返ってくると、とかく点数(結果)だけ見てしまいます。「えっ、こんな点数!ちゃんと勉強したの⁉」という具合。

しかし答案をよく見ると全てが悪いわけではなく、分野によっては良くできていたり、分かってはいるけどカン違いしている部分があったりします。

たとえば算数なら図形はできてないが計算はできているとか。社会なら地理分野はダメだが歴史分野はオッケーとか理科なら物理化学系と生物系によってもバラつきはあるわけです。

こういう差は、教科の性質上当然あるわけで子どもの興味関心や得意不得意という性向による差といえます。

なのでこの「できているところ」に着目するわけです。「ホウ、ここは良くできでるじゃん。なんで分かったの?」と聞いたりします。「なんで出来なかったの?」ではなく「なんで出来たの?」という言い方がミソです。子どもは、そこは得意なところだからとかそこはちゃんと勉強したからなどと答えるでしょう。

その上で「そっか。そこは興味あるところだからできたんだ」とサラっと言えばいい。肯定的な感想ですね。「できない理由」より「できる理由」を問うことで、子どもに自分が「できるときのパターン」を発見自覚させるわけです。

始めは子どももなかなかテストの答案を見せないかも知れません。それまで点数ばかり見て叱っていたならなおさらです。なのでできれば小学生までにこのような習慣をつけておくのが望ましいが、たとえ中学生でも親はぜひ試みて欲しいと思います。

あともうひとつ有効な言葉があります。
これは子どもの自尊心を上げヤル気につなげる魔法の言葉といえます。

それは「教えて」です。誰にでも得意な領域、興味があって他人より詳しい分野があります。
歴史なら縄文時代に詳しいとか…。そんなときは「へー、それってこういうこと?」とか「良く知ってるなァ。もっと聞かせて」というふうに子どもに教えを請う(笑)のが有効。親も口先だけでなく心から関心をもって聞いて下さい。

こうしてテストのひとつを取っても、点数だけを問題にするのではなく子どもと一緒にプロセスを振り返ることで子ども自らが「もっと調べてみよう、もっと掘り下げてみよう」という能動的姿勢に変わります。これは勉強だけでなくどんな領域でも使えます。

私はこれを家庭内アクティブラーニングと呼んでいますが、この手法の良いところは子どもが自己有用感をもてるようになることです。自己効力感とも言いますが、要するに自分の能力に対する信頼度が上がるということです。(なおアクティブラーニングに関しては過去のブログ「子どもに伝えるべき新しい価値観とは」、 「AI時代に向けて大切な教育とは」 を参考にして下さい)

2大欲求を満たせ

ここまでをまとめると、子どものヤル気を引き出すには1、ホメる 2、結果よりプロセスを見ること。

そして1のホメ方には2つの要素、すなわちシンプルに長所をホメる、と欠点の裏側にある長所をホメる、があること。後者は心理学でいうところのリフレーミングに当たります。リフレーミングとは事実はそのままにフレームを変える、すなわち解釈を変える手法です。

先にも言いましたが、動作が遅い→慎重な動き。屁理屈を言う→論理的に思考する、というように意味づけを変える。短所と見なすのではなく良い方に解釈するということです。見方を変えただけですが、親の眼差しの変化は子どもにもすぐ影響します。

ホメることリフレーミングすることは、子どもに「認められている感」を与え承認欲求が満たされます。

2の「できていること」に着目し結果よりプロセスを大切にすることは、子どもの自己有用感(自己効力感)を高めます。

承認欲求が満たされ自己有用感が高まるとはすなわち「自信ある人」ということです。
自信ある人のメンタリティそのものになるということです。(「自信をもつのに根拠はいらない」

なので親の皆さんはこの認識に立ったうえで我が子の承認欲求を満たし、自己効力感を高める言葉を使いましょう。それこそがヤル気を引き出す親の言葉力というものです。次の記事も参考にして下さい。(「親の自己受容が子育てのカギ」

 

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