父親と娘の関係といえば次のことはよく知られた事実ではないでしょうか。
娘にとって父親とは?好きか嫌いかどちらかである!父親にすれば娘から好かれるか嫌われるか、たいていは2つに1つということ。
特に思春期の娘にとっては、多くの場合父親は嫌悪の対象になりやすい。これは父親としてはなかなかつらいことではありますが、事実は事実として認めるしかありません。
その一方で娘から好かれ慕われる幸運な(!?)父親もいます。その違いは何でしょう。
育て方の違い?キャラクター?相性?
いやいや。答えを言うなら外見です(笑)。
あくまで私の印象ですが、娘に好かれる父親はほぼ例外なく見た目がカッコいい!
娘が高校生、大学生になっても一緒に歩いていると恋人と間違われるくらい若々しく格好よい父親がそうです。まっ、自慢の父親というわけです。
それなら私を含め若々しくもなくカッコよくもない父親はどうすればよいのでしょう。
やはり娘から敬遠され疎ましがられて淋しい思いをしなくてはいけないのでしょうか。
そもそもなぜ思春期の娘は父親を嫌悪するのでしょう。
私の妻などは、思春期のころ父親に自分のバスタオルを使われるのが身の毛がよだつほどイヤだったそうです。
「だって気持ち悪いじゃない!絶対やめてよとよく怒ってたわね・・・」
お義父さんに同情します・・・。
マァ、この背景にはいくつか理由があるのでしょう。女の子も思春期になれば当然異性を意識しますが、もっとも身近な異性である父親の行状にも敏感になります。それまで気にならなかったこと。-たとえば風呂上りに裸で歩く、オナラをするなど-が嫌悪の対象になる(笑)。
他にも「最近太ったんじゃないか」など気にしていることを無神経に指摘するとか、母や娘に頭ごなしに物を言うなど、男性特有のデリカシーのなさがとても気にさわるということです。
しかし実はそれだけじゃない。娘の父親嫌悪にはもっと隠れた理由もある。次に紹介する興味深い実験結果にヒントがあります。
父親が嫌われるのは遺伝子のせい?
実験というのは、アメリカかイギリスの確か生物学者(詳細は忘れてしまった)が行ったもので、被験者の女性たちに男性が何日か着続けて汗の染みこんだTシャツを何枚も嗅がせるというものでした。
で、匂いによって好ましく感じたものとそうではないものを選り分けてもらうというものです。
この一見モノ好きな実験結果は面白いものでした。実はこのTシャツはあらかじめ分類されていて、一群は女性にとって身内の存在~父親や男兄弟、親類などの血縁者~のTシャツであり、他方はまったくの無関係~非血縁者~の男性が着たTシャツでした。
結果は・・・?
女性が好ましく感じたのはどちらか・・・。
そうです。非血縁者のTシャツだったのです。
多くの女性にとって身内の男性の匂いは好ましく感じず、血縁関係のない男性の匂いの方が好ましく感じるということ。
これはもちろん遺伝子的に遠い異性との結婚のほうが、生まれてくる子どもの健康や発達に都合がよいからという事情があるからです。似たような遺伝子より多種多様な遺伝子を交じり合わせたほうが、子孫の繁栄(サバイバル)上有効であるといのは生物学的見地からも合理的である。
従って女性が父親を始めとする身内の男性の匂いに否定的な反応をするのは当然という結果なのです。
匂いというのは原始的な生理機能だから自分にとって有害か無害かを判定する上で、もっとも本能的でかつ根源的な判断基準なのでしょう。
女の子が思春期を迎え、子を産む肉体的条件が整うとその本能にスイッチが入り、遺伝子の近い男性(父親)を遠ざけ、遺伝子に遠い男性を求め出すということです。
そう考えると、娘に避けられているお父さんも落ち込む必要はないかも知れませんね。
むしろ健全な父娘関係だと喜ぶべきかも知れない。
お爺さんになれば娘から頼られる
ところで先の実験、それだけで終るのではなくその後の追跡調査もあるのです。
実は、身内の男性を嫌悪するのは結婚前までの話であって結婚し出産を経験すると女性はまた変わるという話です。
多くの女性を追跡した結果、女性は出産すると今度は夫に嫌悪感を抱く傾向があるということです。
代って身内の男性たちに再び親近感をもつようになると。
どういうことでしょう。
生物学者たちの見解はこうです。
動物の世界でもよくあるように、出産したメスから見ると夫(オス)は必ずしも子どもたちの養育者たり得ず、時には子を殺すこともある危険な存在である。つまり夫は子をもつ母親から見た場合、安心できる存在ではなくその点身内の男性たちのほうが庇護者として信頼できるのではないかということです。
確かに出産すると女性は夫に不満やイラ立ちを覚える人が多いのはよく聞く話です。
一般的にも女性は出産の前後実家を頼るのは普通ですが、そこには「危険な夫(!?)」を避けて自分と子どもたちを守ってくれる身内(男性)を求める本能的な欲求があったとは意外です。
つまり、いま娘に疎まれている父親もやがて娘が結婚して出産すればそのときは「良きお爺ちゃん」として親密な関係を築けられるかも知れないということですね。
そういえば私も娘が若いころはあまり話したりしなかったのに、結婚し孫ができるとかえって娘との距離が近くなったような気がします。
これは「父親」から「祖父」にポジションがシフトしたことで、娘からしたら我が子を無条件に守ってくれる存在に変化したからでしょうか。
それにしても娘に親近感をもってもらうのに孫ができるまで待たなければならないとは、世の父親にとってはずいぶん気の長い話ではありますが、それはそれとして楽しみに待つのも悪いことではないのかも知れません。
いま娘に露骨に嫌われているお父さん。大丈夫です。あまり気に病まず長期戦で構えていて下さい。娘も成人し結婚でもすれば、お父さんの良さを再認識し改めて「頼れる父親」として見直すときが来るでしょう。
最後に
ところで発達心理学などの領域で言われていることですが、社会的に活躍する女性は子ども時代父親から男の子と差別せず励まされ続けた人が多いそうです。
これはアメリカでの調査によるものですが、示唆に富む話ではないでしょうか。
「女の子なんだからこれくらいで・・・」とか「女のくせに」など偏見や性差別をせずに「女であろうとガンバレば立派に活躍できる」と考える父親のもとで育った娘は、やはり社会的にも活躍するということですから。
そういえば冒頭に話した「娘に好かれる父親」も外見だけではなく、このように女性を平等に扱うタイプが多いように感じます。
ここは見習うべきかも知れません。
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