教育研究所ARCS

子どもに伝えたい成功法則6ヶ条 その4

成功法則

成功法則その4

  1. 常識を疑う
  2. 物事を「ありのまま」に見る
  3. 情熱と集中力
  4. 高い共感力
  5. 誠実さと実行力
  6. 知的好奇心と勉強意欲

5. 誠実さと実行力

誠実さと実行力。私はこの2つはワンセットと考えています。

誠実さのない実行力は、無駄にやみくもに動き回るだけで完成度の低い仕事になりがちだし、誠実だけど実行力が伴わない人は「ただの良い人」にとどまり、当然ですが「結果」を出すことができないからです。

この場合の「誠実さ」とは、嘘、いつわり、ごまかしがないだけでなく、自分の「仕事」に対してプライドと責任を持って完遂する姿勢のことです。

仕事の内容、職種は問いません。

これについて思い出すエピソードがあります。

もうずいぶん昔のことですが、家族で京都へ旅行したときの話です。

旅先の旅館で、奈良まで行くため観光タクシーを呼んでもらうことにしました。
やって来たのは当時60代後半くらいの初老の運転手さんで、温厚そうで礼儀正しい男性でした。
奈良へ行く道すがら私は何気なく聞きました。

「○○さんはどこで運転を覚えられたのですか?」
「はい。軍隊で覚えました。」
「えっ、軍隊ですか!?」
「はい。陸軍の自動車連隊に配属され、そこで覚えたのでございます。二十歳のときでした。」

軍隊仕込みかぁ…と少しビビりましたが、彼の運転は決して荒いものではなく、かといってノロノロ運転でもなく私たちにストレスを感じさせない神経の行き届いたハンドルさばきでした。

驚いたのは、奈良に着いて例のごとくお寺巡りをしているときでした。彼は一つ一つの名所を丁寧に案内しながら説明してくれるのですが、決してありきたりのガイドブック的解説ではなく、単なる歴史上のエピソードでもなく、このお寺の由来や建立の意味するところまで微細に物語ってくれるのです。

彼の口調には知識をひけらかす素振りはみじんもなく、素人の私たちが聞いても、面白いうえにその解説には深い洞察と研究の跡がありました。
その引き込まれる彼の物語に、付近を歩く観光客までが一人二人と吸い寄せられるように集まり始め、耳を傾けています。
そしてついには集団となりゾロゾロと私たちの行く先へついて来る始末。(苦笑)

さらに運転手さんは、疲れて座り込んだりする私の幼い子どもを抱きかかえて歩いたり、色々話しかけてくれたりと恐縮するほどの献身ぶりでした。

彼の仕事は、明らかに観光タクシーの運転手の域を超えたものでした。
おかげで私たちは夢のような、ぜいたくな一日を過ごすことができたのです。

京都に戻ると、私は心から感謝の気持ちを込めてガイド料を差し出そうとしましたが、彼は正規のタクシー料金以外は決して受け取ろうとせず、来たときと同じく礼儀正しいあいさつを残して去って行きました。

私は何とも清々しい気持ちに包まれると同時に、彼のプロ意識の高さとそれを支える誠実な行動に畏敬の念を感じていました。

誠実さと実行力を兼ね備えた人は仕事を楽しむ?

このエピソードは単なる「良い話」とか、性格の良い運転手さんだったで終わるものではなく、誠意ある実行力とはいかなるものかを示す好例です。

あの初老の運転手さんは、長い間自分の果たすべき仕事のあり方について誠実に研鑽を積んできたのでしょう。

どうすれば自分の仕事の完成度を高められるか。
どうすればお客さんに喜んでもらえるのか。

そのために、運転技術を磨き接客マナーを洗練させ、観光名所に関する歴史的知識も勉強し試行錯誤の果てについにオリジナルの、レベルの高い領域に到達した。

彼は私の見た、まぎれもなき成功者の一人と言えます。

実は彼のような人は、どんな分野にも存在しています。

たとえば、ある外資系の有名ホテルでのエピソード。
そのホテルの宿泊客が、重要な書類の入った鞄を部屋に忘れたまま出発してしまったが、気が付いたスタッフが新幹線で客を追いかけ届けたという話。

このホテルではかねてから「究極のサービス提供」をうたい文句にしていて、その客室係も日頃から「いかにお客様に尽くすか」を考えていたのでしょう。

客は仕事に重要な書類を忘れた。戻る時間はない。
とっさに客室係は新幹線に飛び乗った。

こう書くと出来過ぎの話に聞こえるかも知れませんが実話です。後日この客室係はホテルから表彰されたということです。

タクシーの運転手もホテルの客室係も、通常期待されている仕事の範囲を超えて他者に奉仕している点が、人に感動と敬意の念を呼び起こしているといえます。

何度も言うようですが、こういう「誠実な人たち」はもっと地味な形でどの分野にも一定数いるのです。

毎朝不登校の生徒の家へ説得しに通う教師、かつて自分が補導した不良少年が更生するまで何年も相談に乗り、世話をした警察官、客に少しでも得になるようにメニューの組み合わせを提供するウェイトレス、分かりやすい教材づくりのため深夜まで勤しむ塾講師…等々。

こういう人たちは、当たり前ですが決して義務感で行動しているのではありません。
「仕事だから仕方ないかぁ」と受け身でやっているのでもありません。

仕事をマニュアルの範囲でおさめようという消極的、形式的姿勢からもっとも程遠いところにいる人たちで、彼らの行動の出発点は「もっとより良くできないか」「本当に責任ある行動とは何か」「もっとこの仕事を奥まで追究してみたい」という、探究心にあります。向上心といっても良いかも知れません。

やがて彼らの行動は、会社や上司から認められたいとか出世したいという子供っぽい承認欲求に動機付けられるものから、自分のなすべき仕事の意義に目覚めプライドと責任を持って「完成」へ向かっていきます。

プライドとか責任などというと重く響きますが、そこには独特の喜び―誇りに満ちた喜び―があるのです。

確かに誠実な人は、責任感や使命感が人より強い傾向にありますが「責任」から逃げず、しっかりと向き合い続けることで逆説的に創意工夫の余地つまり自由を感じているからです。

ここは重要なポイントなので繰り返します。

あらゆることに責任を取る人は自由を手にすることができる。

なぜならすべては自分次第であることが分かるからです。

先のホテルマンは「究極のサービス」を目指す中で、自分にはあらゆる選択肢があることに気づいた。
京都のタクシードライバーも然り。
運転技術。接客マナー。歴史的知識。それらの融合。

究極を目指せば、せまい「枠」にとらわれずあらゆる領域に関心が向き利用し得る「資源」は無限に存在することに気づく。
それらの資源を自由に活用することで、自分なりのオリジナルな仕事を高いレベルで編み出すことができる。

結果としてお客さんが喜ぶ、評価もあがる。ひいては組織が発展する、社会貢献にもつなるがるということです。

だけど、彼らには「つらい努力をしている」という感覚はない。

全てに責任を取るから自由であり、自由に創造できるからこそ喜びもあるからです。
そこには、まさに「仕事を通じて成長する」実感があるのです。

誠実な実行力ある人とは仕事を楽しむ人でもあるわけです。

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