教育研究所ARCS

就活ってそんな必死にやるもの?

成功法則

就活ってそんな必死にやるもの?

大学生など若い人たちと接していて気になることがある。

それはなぜ「就活」など働き口を探すことに、あんなに目の色を変えるのかということ。

「そりゃ、どこに就職するかは一生の大事だからですよ」
「良い就職口にありつけなかったら大変なことになるし」

ごもっとも。どこでどんな仕事をするかは一生を左右する重大事だ。だから少しでも自分の意に叶った勤め先を探すというなら良いことだし、やりがいを求めて希望の職業を目指すことは当然あるべき態度だと思う。

だが、大手企業であれば安泰だからとか、誰でも知っている会社だから見栄えがするといった理由で職種も考えず就活にいそしむ若者に対しては疑問を感じる。
これには親の意向も反映している。「喰いっぱぐれがないので公務員を目指す」という若者がいるが、よく聞いたら親も公務員で子どもにそう勧めていたりする。

非常に違和感を覚える。

「そんな理由で公務員になるな。公務員は世のため人のために尽くすべきだろ」などと正論を振りかざしたいのではない。(振りかざしたい気も多分にあるが)

公務員だから大企業だから安泰とか、そういう安全志向で大して好きでもない仕事に就こうとすることが情けないと言いたい。ハッキリ言ってそんな動機で入った人間は大した仕事もできないだろう。

それに第一「○○だから安泰」などと今どき何を根拠にそんな呑気なことが言えるのだろうか。今や大企業といえど倒産する時代。倒産しないまでも買収されたり吸収されることも稀ではない。たとえ見てくれの良い会社に入ったところで、そこで定年まで居続けられるかどうかは保証の限りではない。それこそ入っただけで安泰ではないのが現実。

終身雇用や年功序列(年と共に昇給し続ける)などはとっくに過去の神話と化している。それどころか、これからは能力のある人ほど複数の仕事を経験する(転職によるスキルアップ)時代になることは、多くの経済学者や経営組織の専門家が指摘するところだ。

だからいま必要なことは組織(会社)に守ってもらうことではなく、いかに個人としての自分を磨くか組織に頼らない人物たり得るかという点にある。

入り口より出口が大事

私は「就活するな」とか「真にやりたい仕事だけを目指せ」と言っているわけではない。若いうちは自分が何に向いているのか、やりたい職業が何なのかいまひとつ分からなくても仕方がない。卒業が迫っているのに就活しないわけにもいかないことも理解できる。
私個人の話で恐縮だが、私も学生時代何がしたいかどんな職に就いたらよいか分からず、とりあえず大学院に進み、気がついたらいつの間にかアルバイトの延長が職業になっていた。

実質就活経験ゼロである。30まで正業(?)についていない。親には心配をかけたが、私としては「何をしたいか分からない自分」に正直だったと思っている。30歳にして進むべき道をやっと見つけたわけだが、その後の職業人生には満足している。遠回りしたとも思っていない。それは必要な時間と経験だった。むしろ下手にあわてて決めなくてよかったと思っている。そんなことをしたら今の自分はなかったし、かえって遠回りになっていただろう。

問題は入口ではなく出口である。
入口はどんな学校に入りどんな会社に入るかであり、出口はどんな人生を送りどんなことを達成したかつまり充実と幸福をどれだけ感じたかである。
入口の体裁ばかり整えて先細りの人生では淋しい。学校でも会社でも入るときばかり気にしてそこでどんな人生を送るのか考えもしない。入ってからのほうが大切だし、そこで自分を成長させていくことのほうがより重要なはずだ。

いまの若い人たちは敷かれたレールの上ばかりを歩かされているように見える。ステレオタイプの「良き人生」を送るために、たとえば中学受験し良い高校、良い大学を目指し良い会社に入るために就活する。その後は「婚活」「妊活(?)」と続き最後は「終活」へと至るのだろうか。そんな形だけの皆と同じレールを歩むことは、果たして充実した人生と言えるだろうか。

つまりすべては「将来」に備えての「今」でしかなく、それは未来の不安に脅えて「今の自分に本当に必要な経験」を取り逃しているといえる。

会社に守ってもらおうとするな

この歳になって思うことだが、若い時の一日一日はとても貴重な時間だ。勉強し学ぶこと。友人たちとの交流。部活やサークルに一生懸命打ち込むこと。そこで喜び合ったり汗をかいたり、涙を流す体験はその後の人生に大きな糧となる。大学生ならばせっかく高い授業料を払っているのだから自らの専門分野を徹底して深めて欲しい。物事をとらえる視座が確保できるだろう。考える基準ができる。

そうして個人としての力を鍛えるべきだ。そうすればどこに行こうと自らの運命を切りひらいていける。万一勤め先が意にそわない所であってもその環境をいったん受け入れ、そこで全力を尽くすなら大きな「学び」を得ることができる。会社の大小を問わずそこで実力を蓄えることが次の展開につながる。自分にふさわしい、もっと良い環境からお呼びがかかるかも知れない。今の時代、どんな企業も組織も真に実力ある人材を必死で探し求めているからだ。逆に「学ぶこと」をせず自分の得意技を磨きもしない人間は、たとえ望みの会社に入ろうと居場所を失うことになるだろう。そんな居場所を失った中高年が今や排除されつつある例を私も日常的に目にしている。

大事なことは、会社という組織に守ってもらうことではない。会社というものを崇めるようにして「入れて下さい」と頼むものでもない。周囲が皆「就活」で大騒ぎしていることに巻き込まれ右往左往することでもない。
「自分はどんな所でもやっていける」という自信をもつことである。「どんな所でもやっていける」と思っているなら実際やっていけるからだ。自分は相手(会社)のほうから「ぜひ来て下さい」と言われるほどの人間だくらいに思っていてちょうど良い。

もちろん現実は就職試験を受けなければならない。面接で屈辱的なことも言われるだろう。何社からも「不採用」になることも当り前にある。
そんなときは「縁がなかったんだな」「俺(私)の良さをこの会社は見抜けなかったのだ」と考えて落ち込まないこと。問題は入ってからであり、仕事を通じて人間としてどれだけ成長しどれだけ社会に貢献したかが人生全体の質に関わってくるかだから。

心がけるべきは常に自分個人としての「人間力」を磨いておくことだ。そのためには「今の自分」を大切にし「今の自分」がやるべきことに全力を尽くす。されば「良き人生」がひらけていくだろう。

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