教育研究所ARCS

子どもを「どうにかしよう」としない

教育・子育て

子どもをどうにかしようとしない

親の皆さんと話していると、やはり子どもを「どうにかしよう」と考えてる人が多いと感じます。しかし「どうにかしよう」と考えている限り子どもは「どうにもならない」ことを理解して欲しいのです。

子どもの「現状」を見てこれじゃダメだと思い状況を変えようとアレコレ試みることは十中八九うまくいかない。むしろこのマズい状況をますます固定化してしまうのがオチでしょう。

確かにうるさく言えば一時的にはその状況を変えられるかも知れない。しかし強制や圧力が功を奏するのは、人間関係でも国と国の外交関係でも一時的であって後々かえって大きな反動が起こるのは火を見るより明らかです。

「では、どうすればよいのだ!?」と問うならそう問う自分にこそ問うてほしい。
なぜ、「どうすれば」と問うているのかと。
というのは「どうすればよいのだ」という問いこそ「子どもをどうにかしよう」「どうにかできるはずだ」という思いが前提にないと出てこないはずだからです。
つまりは堂々巡りだということ。

それでも「どうすれば」と言う人に私が答えるならそれは「何もしない」です。
そう、何もしないが正解です。
より正確に言うなら「子どもを何とかしよう」と思う行為を一切「しない」ということです。

そうすれば子どもは自発的に「何かをする」可能性が高まります。絶対そうなるという保証はできませんが少なくとも自分で考えるようにはなります。

子どもでも大人でも変わる(改善する)ときは自ら「変えたい」と思ったときです。自分の意志で変わろうと思わない限り変わることはできません。
これはつまり他人を変えることはできないということです。

「他人を変えることはできない」

これは人間関係の基本であり誰でも知っている法則でありながら、なぜか親は自分の子どもだけは変えられる(どうにかできる)と思いこんでしまっています。

子どもをどうにかしよう、変えようとすることはたとえ親であってもできないのだということをしっかりと認識して欲しいと思います。

親こそ自分の問題に気づくべき

そもそもナゼ親は我が子を「どうにかしよう」とするのかというと、少しでも子どもを良い方向へ導きたいという思い。そしてそれ以上に、自分は親としての義務を果し切れているかどうか不安だという2つの思いがあるからです。

私の経験では子育てに不安を抱え自信をもてないでいる人―特に真面目な母親―にその傾向が強いと感じています。子どもがちゃんとしていないのは親たる自分の責任という思いが強い人です。子どもが勉強しない、だらしない、消極的だなど好ましくない状況があると「どうにかせねば」とアレコレ介入する。
そうすることで自分は親としての努めをきちんと果しているつもりになる。

これは子どもにとって迷惑な話です。
「親としてちゃんとやってますよ」という一種のアリバイ工作だからです。

だから親の皆さんはいま一度、我が子にアレコレ注意したり叱責したくなったとき本当にいまそれが必要な行為なのか、それとも親の義務を果してないと言われたくないから、つまり不安や罪悪感に促されてのものなのか振り返って欲しいのです。

繰り返しになりますが、子どもが思春期になれば親が口出しして特定の方向へ誘導しようとしても、それは決してうまく行かないのです。
子どもを「どうにかしよう」という行為を一切やめて、親はむしろ自己自身を見つめ直したほうがよいのです。親の方こそが自分のことをやる、自分のことに専念するということです。

そのためには次のような自己分析をおすすめします。

まず、自分の中に子どもをコントロールしたい欲求があることを認めること。この自覚からスタートしましょう。
その上で「なぜ我が子に〇〇であって欲しい」と思っているのか、できる限りその理由を掘り下げてみてください。
たとえば自分の中にある「やりとげていない未消化の体験」に気づくかもしれません。「もう少しこうしておけば…」「あんなことをやるべきじゃなかった」「自分と同じ失敗はさせたくない」等々、自分の中で決着のついていない問題が見つかるかも知れません。

それらに気づくだけでも大きな進歩です。未解決の問題に「気づきの光」をあてたからです。

親が変われば子も変わる

このようにして「子どもをどうにかしよう」とする自分の内側に、固有のこだわりや未消化の問題があることに気づいてそれを手放すことができれば、自ずと子どもに対するコントロール欲求は薄らぐでしょう。

子どもを「どうにかしよう」とするのは自分をどうにかしたいという欲求の投影であったということ。そしてそれに気づいて手放すことで浄化が起こり自分も子どもも解放されることを知ってください。

この効果はとても大きいのです。自分の囚われやこだわりから解放されると、子どもを一段大きな視点から見つめ直すことができるからです。
結果として子どもは自立する、あるいは自発的に自分のことを考え、自分のやるべきことをすることにつながるからです。

多くの親は「子どもをどうにかする」のは子どものためを考えているからこそだと信じこんでいます。あるいは親の果すべき義務だと思っているわけです。

しかし本当は親のほうこそ解決すべき問題や未消化の体験を抱えており、そこに向き合わずにいることで「子どもの問題」も浮上している可能性が高いのです。
だからいったん子どもから注意をそらし、自分の内部の「問題」に気づくこと。その上でやりとげていないことや、やりたかったのにやれていないことがあるなら再度やってみることをお勧めします。

私にも経験がありますが、子どもが好ましくない状況にあるとき、たいていの親は子どもに問題があると考えます。しかし子どもを問題視する自分こそが「問題」と気づくと劇的に状況が変わる例をたくさん見てきました。

やはり「他人は変えられないが、自分が変化することで他人(状況)を変えることができる」というのは真実だということです。

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