教育研究所ARCS

ポケモンGOに大人がはまる“利点”

教育・子育て

 

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最近世間を騒がしているポケモンGO。アメリカで火がついて社会現象化し、その勢いで日本公開。さっそく盛り上がっているようです。私自身はポケモンが昔ブームになったころにはすでにゲームにはまる年ではなかったので(結構タッチの差ですが…)、そもそもポケモンというコンテンツ自体をよく知りません。聞いたことがあるのはピカチューくらい。

そんなわけで、自分ではこのゲームをやっていませんが、その爆発的広まりがちょっと気にはなっています。
昨晩ラーメン屋で夜ご飯を食べている時も、後ろの席に座った女性4人組が「○○を捕まえた!」「見せて!」と、(おそらく)このゲームの話をしていました。帰る時にチラリと彼女たちを見ると、どう見ても30代後半から40代。ばっちり中学生から高校生のお子さんを持つお母さんの年齢層です。テレビやネットのニュースを見ても、スマホをにらみながらポケモンを求めて公園を歩き回る人々の群れは大人ばかりです。

大人中心のゲームブーム。この状況は果たして良いことなのか。それとも悪いことなのか。社会的、文化的影響についてはよく分かりませんが、ただ一つ分かることがあります。それは、「私の仕事が少し楽になる」ということ。

教育研究所ARCSでは、お父さんお母さんから教育についての悩み相談を受け付けています。私もいろいろと相談をされるのですが、やはり中学生から高校生で多いのは「スマホ」についてです。「うちの子は家に帰るとスマホを片時も手放さず、いつみてもスマホで何かやっている。勉強をしてくれないのも困るし、そもそも何をやっているのか分からないのが不安」。このようなお悩みはもはやテンプレートといってもよいくらいよくあることです。

わたしの答えは場合によって違いますが、その中でもよく言う解決策が「親も一緒にそのゲームをやる」ことです。ゲームにしろラインにしろ、一度子供がはまったものを親の力で禁止するのは至難の業です。特に中学生・高校生くらいになれば、親をごまかすことなどいくらでもできます。親が禁止する、子供がごまかす、親がそれを見つけてしかる、子供が反発する、と悪循環に陥っていくことも珍しくありません。ですから、ここは一つ見方を変えて、あたかも好きな人の趣味を知ろうとするように、子供の世界に飛び込んでみるのも悪くありません。普段会話さえいやがる思春期の子供であっても、意外なことに心の底では「親に認められたい」「親に自分を知って欲しい」という願望をしっかり持っています。親が自分の好きなものに興味を示し、かつ自分が親に“教える”立場になれる状況を、子供は確実に喜ぶのです。

こんな話をすると、一昔前であれば必ず親から反発がありました。「ゲームなんてくだらない」「よく分からないし」、と。ただ、冷静に考えてみれば、ゲームがくだらない訳がありません。ゲームを作っているのは大人です。そして、大人達が必死で考え抜いて作ったゲームとシステムは、現実社会で巨万の富を生み出しています。例えば今回のポケモンは任天堂の商品ですが、任天堂と言えば就職したい会社ランキングでいつも最上位に位置する日本を代表する企業です。そのようなことを分かっている大人だからこそ、その商品を使ってみることで、子供とはまた別の視点の面白さを得ることができるでしょう。

「くだらない」についてはこのように説明をするのですが、「よく分からなくて」という意見にはこれまでなかな返答の決定版がありませんでした。しかし、今回のポケモンGOブームのように、今の親は携帯ゲーム、スマホゲームを当たり前のように経験し、自分自身もはまってきた経験を持つ世代になりました。子供が何をやっているのか、なぜはまるのかを実体験として知っている世代です。親自身の中に経験としてあるものであれば、子供の状態もなんとなく察することができますし、過度に不安になることもないでしょう。

そんなわけで、今後「スマホに夢中」系の相談は徐々になくなっていくと予想しています。「子供が○○にはまって勉強しない」という相談は特効薬がまずないやっかいなものなので、ちょっとほっとしています。

もちろん、また次の、親が経験したこともない“はまる対象”が生まれてくるのは確実ですが…。ひとときの安息です。

画像参照元:https://smhn.info/201607-pokemon-go/pokemon-go-logo

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