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日本の未来はどうなる?迫りくる一大教育改革

教育・子育て

日本の未来はどうなる?迫りくる一大教育改革

皆さんは学校教育といえばどんなイメージを持ちますか。誰でも学校に通った経験がある以上、その記憶に基づいて出てくるイメージは大体同じようなものになるでしょう。

私が言ってるのは授業に関するものです。

まず先生がいて、教壇に立ち教科書に基づいて解説講義する。生徒たちはそれを聞きノートに板書を写したり問題を解いたりする。
そしてチャイムが鳴り授業の終わりに宿題が出る。

大体そんなところでしょうか。

人々が学校教育(授業)に対してもっているイメージは大体こんなところでしょうね。

箇条書きにするとこんな感じになります。

授業の流れ(形式)

  1. 先生登場。生徒→起立、礼などのあいさつ
  2. 先生→講義(板書)。生徒→聞く。(ノート取り)
  3. 先生→発問。生徒→応答
  4. 先生→課題(宿題)指示。生徒→自宅で学習

そして授業中、聞いていない生徒や当てて答えられない生徒には先生が注意したり叱ったりという「指導」が入ります。

ここではあくまで先生が授業をする側、生徒がそれを聞く側であり、指示する者とされる者、知識を授ける者と授けられる者という上下関係が存在します。

当たり前じゃないか!

と多くの人は思うでしょう。それが長い間行われてきた学校教育というか、教育そのもののあり方ではないか…と。

ところが、この長年当たり前と思われてきた教育のあり方、とりわけ授業方法がいま根底からくつがえろうとしているのです。

どんなふうに変わるのか。

たとえば大ざっぱに説明するとこんな形です。

  1. 先生は講義せず板書もしない。
  2. 生徒は各々単独あるいはグループで討議したりディスカッションしたり、互いに質問し合ったりワイワイ騒ぎながら(?)学び合う。
  3. 先生はその間、生徒の間を歩きながら質問に答えたり、アドバイスしたりする。
  4. 授業の後半には、生徒たち(グループ)が各々の成果を発表し課題を確認する。

この新しい方式では「一斉授業ではない」
「先生は講義する者ではない」「生徒は板書をノートに写すだけではダメ」という特徴があります。

何よりも「先生=知識を教える側」「生徒=知識を教わる側」という伝統的な教育における、上下(師弟)関係というもっとも中心的なコンセプトそのものが消滅しているのです。

そしてこういう新形式の教育こそが、いま文科省を始めとする国が推進しようとしている試みであり、すでに高校中学校そして小学校でも一部地域では始まっているものなのです。

アクティブラーニングってなに?

いま日本の教育界に何が起こっているのでしょうか。
さっきのような新しい教育はなぜ必要なのか。
国が率先して進めようとしている新しい教育システムの実態は何か。

これらの疑問に答える前に、まず中教審の打ち出している教育方針の内容からざっと考えてみたいと思います。

2012年の中教審答申を受け、文科省は「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」を推進。
これは知識の理解だけでなく、思考力やコミュニケーションなど技能・態度の強化を図ったもの。
もっぱら、大学教育を質的に改善して産業界のニーズにこたえる教育への転換といえます。

さらに2020年から大学入試も、従来のように「知識の量」を問うものから「答えのないもの」「答えがいくつも考えられるもの」について考えさせたり、仮説を立て論証したりする能力を問うものへと転換しようとしている。

これらの能力技能を鍛え上げるためには授業そのものも変更せざるを得ない。従来のように先生が一方的に講義し、生徒が受動的に聞いたり覚えたりするのではなく、一定のテーマに基づいて調べ、議論し互いにコミュニケートしながら理解を深めていく。

すなわちアクティブラーニングが必要となったわけです。

そのアクティブラーニングこそが先に言ったような、生徒主体の学び合う学習方式ということになるわけです。

いま教育界はこの「アクティブラーニング」という言葉が大合唱され、教師の研修会や学習会などたくさん行われていますが、かなり混乱の様相を呈しています。

アクティブラーニングとは文字通り訳せば、能動的あるいは主体的学習ということですが従来の「主体的学習」とは少し概念が違い、先の例のように、先生が一方的に教え込むのではなくあくまで生徒がグループワークやディスカッション、ディベートなどを通じて自ら理解を深めていく形式で、先生は「賢人」としてふるまうのではなく生徒の学習理解を促す「ガイド」の役目となります。

現場からの反発も当然起こっています。

「アクティブ アクティブというが授業をしっかり聞くのもアクティブ(主体的)ではないか!」
「教師が説明しないなんて。それでは生徒は理解できるわけがない」
「授業中かってに生徒が騒ぎ出したら収拾がつかないのでは…」

などという声が実際にあがっているのです。

しかし、すでにこのアクティブラーニングは一部の高校や中学そして小学校でも実験的に導入され、失敗例や成功例など集まり始めています。

果たしてこの新しい教育は定着するのでしょうか。

この試みが成功するか失敗するか、正直言って私には分かりません。予断は許さないといったところでしょうか。

ただ、この「改革」は教育史上最大の改革であり、伝統的教育の概念そのものをひっくり返すという意味でまさにコペルニクス的転回、教育のパラダイム転換であることは確かです。

少なくともこの教育が成功するかどうかは、日本の未来を大きく左右することは間違いありません。

これほどの大転換であるにも関わらず、文科省や国は国民にきちんとした説明をせずこれまでの「小さな教育改革」と同じように方針だけ示して、後は現場に丸投げの姿勢でいるように見えるのが私には残念です。

この調子でいくと、現場の混乱を招くだけでまたまた「形だけの改革」かけ声だけの改革で終わるのではないか。

そんな雰囲気さえただようかも知れません。

しかし、私の考えではこのアクティブラーニングを中心とする教育改革は、紆余曲折はあるにせよ後戻りはできないと思います。
この流れ自体は変えられない。

それは産業界の要請というより、もっと大きな流れ、時代の必然ともいうべき一大潮流があるからです。

その辺も含めて次回もう一度日本の教育の未来について書こうと思います。

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