教育研究所ARCS

美しい姿

教育・子育て

少し前、中学生の息子が出場する体育祭を見に行きました。

暑い時期なので気が進まなかったけれど、妻に促されて内心渋々足を運んだのです。

途中からの見学でしたが、生徒たちは炎天下にもかかわらず元気に駆けたり、ボールを追ったりとそれなりに盛り上がっていました。

私たちの時代の“運動会”に比べ親たちの見学は少ないように見えましたが、それでも校庭の周りは立ち見も含めて一杯になっていました。

やがてクラス対抗リレーが始まり、妻に注意されて見ると中1の息子が走っていました。

「えーっ、どれどれ!?」

すると目の前をバトンを持った一人の少年が駆け抜けて行きました。確かに息子のようでしたが違うようにも見えたのです。

「その少年」は必死の形相で走っていました。

両目は飛び出さんばかりに大きく開かれ、口を大きくあきまるで獲物に飛びかかる巨大魚のようでした。(笑)

家でソファにゴロゴロ寝転がっている姿を見慣れている私にとって、それは衝撃の光景でした。

「あんなに一生懸命走っているとは…!」

体育祭なのだから一生懸命走るのは当たり前かも知れません。

しかし私はその姿に感動を覚えたのです。

それは日常見ている息子の姿とは似ても似つかぬものでした。

必死に走る息子の姿を美しく感じたのです。

単なる親バカと思われるかも知れませんが、私は日頃の“ダラシない態度”こそが息子の全体像と考えてしまっている自分の「誤り」に気づいたのです。

多くの親はこのように、どうしても家で目にする我が子の姿だけを見て判断し心配したり不安になったりイライラするものです。

しかし親の見ていないところで、子どもがどれほど精一杯ガンバっているかその真実にはなかなか気づけないのです。

私たちの気づかない所で、子どもたちは友人を励ましたり部活で苦労したり、時には喜び時には傷つきそれでも彼らなりに毎日を懸命に生きている。

子どもには子どもの世界がありそこでは決して親の知り得ない子どもたちなりの真剣な日常が流れている。

考えてみれば当たり前のことです。自分たちの子ども時代をふり返ってみればそれは簡単に分かるはずのことでありながら、親となった私たちはつい忘れているのです。

息子がリレーで走る姿は、久しぶりに私にこの当たり前の真実を思い出させてくれました。

今日も息子はソファに仰向けになってスマホを握りしめヘラヘラと音楽を聞いています。

「外で一生懸命だからこそ、家では安心してくつろげるのだ。」

そう思うと不思議とイライラせず平穏な気持ちで彼のダラシない姿を見守っている自分に気づきます。

ダラダラしている我が子を見ると、ついイライラして小言を言ってしまうお母さんお父さん!

あなたのお子さんも親の目の届かないところでは精一杯ガンバっているのかもしれません。

そしてそれはあなたが見たこともないほど美しい姿なのかも知れないのです。

信じてみませんか。その姿を。

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