教育研究所ARCS

「お母さん」へのメッセージ ~3通目~

教育・子育て

今日お話するのは「冷静客観型」タイプのお母さんについてです。

あまり感情的にならず冷静客観的に物事を考え、子どもの長所や短所もクールに判断し、「ウチの子に限って…」などと我が子に都合よく事実をねじ曲げたりしない。そんなお母さんですね。

このタイプのお母さん、最近増えている気がします。

これは、一昔前に比べて親自身の教育レベルが上がり、子育てに関する知識も増えていることと無関係ではないと思います。

我が子のことも客観的に見ているので、面談などでも話がスムースに進み余計な労力がかからないという点で、我々講師にとっても助かるタイプのお母さんといえます。

このタイプのお母さんの利点は、何といっても子どもに過度に介入せず、子どもがたとえ問題を起こしたり成績が伸びないなど、悩みがあっても「最終的には子ども自身が解決しなければ仕方ない。」と達観しているところです。

母親にありがちな一つの問題を過大にとらえ右往左往する視野の狭さがない。

とても賢い感じがします。

冷静客観タイプのお母さんの難点

子どもにむやみに介入しないのは良いことですが、介入すべき時や子どもの判断に任せてはいけない時までも「決めるのは子ども自身ですから」と突き放してしまう(そのつもりはなくても)ことがあります。

私も何度か困ったことがあります。

たとえば、受験学年になり志望校の最終決定が迫っている時など親も受験校の情報を集めアドバイスした方が良い瞬間があります。

そうしないと、とかく子どもは「友人も行くから」とか「制服が可愛いから」などのいいかげんな理由からあるいは、つらい受験勉強から逃れるために「受かる所ならどこでもいい」と不当に志望レベルを下げたりすることがあるのです。

これも受験がらみの話ですが、入試直前になって突然学校や塾を休みがちになり、勉強も全く手につかなくなる子が時々いますが、こういう時も「子どもの自主性に任せていますから…」と介入しない親がいます。

上記のような子どもの「危機」には親が緊急介入すべきです。

ここで「子どもの自主性云々」は単なる無責任でしかありません。

恐らく冷静客観型のお母さんは、この状態(子どもが一種の逃避)に介入して感情的なやり取りになることは日頃の自分のスタイルを崩すことになると考えているのでしょう。
しかしそれこそ「逃避」ではないでしょうか。

感情的なやり取りも時には愛情の交歓となり得ること。それが必要な瞬間もあるのだということを理解してもらいたいと思います。

冷静客観タイプのお母さんへ

私からのメッセージは次のようなものです。

あなたは我が子が小さい時からあまりベタベタせず適切な距離を置いてつき合って来ました。

その意味では先回りしてすぐ手を貸したり、何から何まで面倒を見たがるお母さんたちとは一線を画してきたと思います。

子どもに愛情をかける余り盲目となり、結果的に子どもの自立を妨げ子どもを支配下に置いてしまう、世の多くの母親たちと比べるとあなたの子どもとの距離感はとても貴重で、賢いものだと思います。

ただ、あなたには一つのとらわれがあるかも知れません。

感情を露わにすること。感情をむき出しにすることは良くないことだという思いです。

あなたは感情を表に出す人を「子どもっぽい」あるいは「軽率だ」と判断してしまうのではないでしょうか。

感情的な人からイヤな思いをしたという体験があるのかも知れないし、子どもの頃親などから「感情を表すのは良くないことだ」と教育されたのかも知れません。

その結果自分の感情を抑えがちなのだとしたら、それもまた一種の感情的思いこみだと考え、自分に「感情を感じてあげる」ことをもっと許しましょう。

いつも感情を抑えていると自分が何を感じているのかが分からなくなり、そのことがかえって「現実」を見えなくしていることがあります。

子育ては合理的な考えだけでうまく行くものではありません。

多くの「子育て知識」も役には立ちますが、かえって本質を見失わせる場合もあります。

できたらもう少し柔軟に子どもの色々な側面に光を当てて見て下さい。

子どもの不合理なふるまいや言動の中にこそ親が気づくべき宝物がある。

そういう考え方も取り入れてみて下さい。

そうすればあなたと子どもの関係もより良いもの、豊かなものになっていくでしょう。

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