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「ありのままが美しい」本当の意味

教育・子育て

「ありのままが美しい」本当の意味

私事ですが5月に引っ越しをしました。
以前住んでいたところからそう遠くはない距離ですが、繁華街に移ったせいか人通りがすごい。
人の波をぬうように歩くためちょっとした外出でも慣れるまでは結構疲れました。

特に引っ越しの直後、私のマンションの周囲ではちょっとした異変がありそのことが混雑に拍車をかけていたのです。

その異変というのはポケモン何とかという一時流行ったゲーム(?)です。

犬の散歩などで外へ出ると何十人もの人々が携帯(スマホ?)を手にボーっとたたずんでいます。最初はギョッとしました。
マンションの出入口前はちょっとした広場になっていて、そこに大勢の男女が突っ立って画面をのぞきこんでいます。夜遅くに液晶の光で顔を照らしながら、うつろな眼で画面に食い入っている何十人もの男女。

それは異様な光景でした。

これらのゲームに興じているのは若者だけではありません。
結構イイ年をしたオジサンやオバサン(失礼!)も混じっているのです。

それぞれが色々な方角を向き、画面を見ながらボーっと突っ立って緩慢な動作を繰り返している。
言葉は悪いですが私にはそれがゾンビの群れ(!)のように見えたのです。
「ゾンビ」が言い過ぎなら「魂が抜けている」人々を見たという思いです。

「魂が抜けた」人たちがいる!それはまさに現代の人々が陥っている心の状態を象徴しているのではないか。

その「心の状態」とは意識が内側にない状態。外側にばかり向けられていて中味がカラッポになっている状態ということ。
それはつまり外側に操られ支配されているということです。

魂が抜けた現代人

私たちの心はいつも外側をさまよっている。

外側にある豊かさや楽しみを追い求めることに人生の大半を費やしている。

豊かさや楽しみを求めること自体が悪いのではありません。それらは人生を幸せに生きたいという意欲であり生命力の発露である以上当然の欲求だからです。

しかし、外側に求め続ける限りそれらの欲求は満たされることもなく幸せを手に入れることもできないのだと思います。

人はよく「もっとお金があれば良い暮らしができるのに」「もっと条件の良い会社にいたら楽なのに」「夫や妻がもっと理解してくれたら…」「子どもがもっと勉強してくれたら…」と外側に条件をつけます。

この時点ですでに「幸せ」は他者や環境という外側(条件)次第で、自分にはそうなるだけの力はない、無力なのだと表明していることになります。

そしてその「無力感」から次から次へと新しく依存できる対象を探し回ることになります。外側へ向かって。

お金を得たら失う不安にさいなまれ「もっと増やさないと」と焦り、仕事場を変えても「やっぱり違う環境のほうが」と後悔し、恋人がいても「何か違う」などと言って別の出会いを求める。こうして終わりのない旅が始まります。これが多くの人の苦悩や不幸の正体です。

このループ、悪循環から逃れるためには外側に幸せを求めることをやめ内側を満たすしかありません。

自分の内面がカラッポである限り外側(他者や環境、状況)に支配され続けるしかなく、支配されている以上、真の充足や幸福を得られることはないからです。

あるいは自分の空虚と向き合いたくないから、それを満たす対象を外側に求めているのかも知れませんが、いずれにしても同じことです。

意識の光で内部を照らす

ではどうすれば自己の内面を満たし充実感や幸福感を感じることができるのか。

まず意識の向きを変えること。これが大事です。これまで外にばかり向けていた意識の方向を180°反転させて、自己の内側に向ける。このとき、意識の光を内部の中心に向かって明るく照らすイメージが有効です。
いままで意識は外側ばかり照らしていたために自己の内部は暗闇になっていたことに気づきましょう。
内部が暗闇になっていたから意識は常に外側へ引っぱられていたのです。

これをバランスさせるのです。多くの人は意識のバランスを9:1か10:0の割合で外側へ向けています。これをせめて7:3とか6:4にしたい。最終的には5分5分か4分6分くらいに内側を明るくすることを目指します。

では、自己の内側を明るく照らすことで何が見えてくるのでしょうか。

始めは何も見えてこないかも知れません。「こんなことをやって何になるのか」という空しい思いがするかも知れません。それでもくり返しているうちに徐々に見えてくるものがあります。

それは「本来の自分」です。それまで他者の顔色をうかがったり、外側の状況やら周囲の思惑やらに合わせることで押さえ込まれていた本来の自分の存在です。

本来の自分とは「ありのままの自分」と言いかえても良いかも知れません。

ありのままの自分を認めることは、自分らしく生きることであり、自分らしく生き自分らしく在ることが幸福の原点なら私たちは外からそれを与えてもらう必要もないことになります。

私たちは幼いころは誰もが自分らしく生きていたはずです。ありのままの自分でいることに充足し、自分の個性や特質を発揮して出たのです。しかし親や教師、周囲の大人から「そんなことじゃダメだ」「もっとこうしなさい」と言われ、また成長する過程で自分らしさを発揮すると反感をもたれたり、思いがけず他人を傷つけてしまった記憶から、私たちは「自分らしさ」を発揮することに後ろめたさや罪悪感をうえつけられてしまったのです。

こうして私たちは社会に適応するために「本来の自分」を奥深くにしまい込んだまま忘れていきます。
あてにならない「本来の自分」などより、世間のルールや常識に従うほうがずっと価値ある生き方だと信じ込まされたといえるでしょう。

その結果は先に言ったように、外側に幸せを求める無限ループのワナへとおちいることになるわけです。根底に「本来の自分」を忘れ去ったことがあります。

ありのままの自分を認め受け入れる

さて、ここまでのポイントをまとめながら話します。

私たちは外側にあるものばかりに意識を引っぱられ、自己の内側が空白になることでいわば魂の抜けた状態になっているということ。
そのことが充足感や幸福感を得られにくいものにしているのです。

なぜなら外にある物事は決して人を満たすことはできないからです。一時的な喜びでしかない。充足とは内なるものであり、内側から放たれるエネルギーこそが全てを満たすものであるからです。
要するに幸福とは外側から与えられるものではないということです。

外側にあるものは幸福の条件もしくは手段であって、それそのものではないからです。外側の条件に依存している限り、幸福は相手次第ということになり自らのパワーを失います。

私たちは自らの内部に意識の灯りをともすことで「本来の自分」を思い出し、それとつながることでエネルギー(生命力)を充電し周囲にも放射することができます。

なぜなら「本来の自分」「ありのままの自分」とは、一切の思い込みや観念、価値判断でゆがめられていない純粋な魂の発露であるからです。いわば生まれつき持っていた特質や美点を十分発揮している状態が「ありのままの自分」の姿ということです。

赤ん坊は多くの人の心をひきつけます。決して他人の思惑を探ったり、自分以外の誰かを演じようとすることもありません。ただ「ありのまま」を自分らしく表現しているだけです。
ありのままでいること。自分らしくあることには独特の美しさがあります。

だからあなたも意識をもっと自分の内側に向け、本来の自分ありのままの自分を思い出しそれとつながってみて下さい。

たとえば子どもの頃を思い出して下さい。あなたが苦もなく発揮していた才能や美点は何でしたか?何が好きで何をしているときが一番楽しかったですか?絵を描くこと?ピアノを弾くこと?見てきた映画のストーリーを人に語って聞かせること?周囲からほめられたり喜ばれていたことは何でしょう?

自分の特質を思い切り発揮して「あるがまま」を表現している瞬間、あなたはもっとも輝いていたのではありませんか。もっとも美しかったのではありませんか。

私たちは自分らしさ、自分のすばらしさを表現するためにこの世に生まれてきました。
自分の「ありのまま」を認め表現することは決してワガママや自己中心的になることではありません。反対に自分と周囲に喜びをもたらすことなのです。

なぜならあなたの特質やユニークな美点が人々をひきつけるからです。引きつけようとするのではなく「あなたらしく在る」ことで結果的に外側の現実も好ましいものに変わるということです。

幸せの青い鳥はやはり外側に捜し求めるものではなかったのです。それは最初から家(内部)にあったということです。

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