いつになく緊張…でも良い雰囲気!
庄本氏のブログでご紹介した通り、東京講演は盛況のもと終了しました!
参加して下さった方々、ご協力いただいた方々、改めてありがとうございました。
御茶ノ水ソラシティという綺麗な会場と、初めてのお客様ということで、実はけっこう緊張しました(苦笑)。
でもだんだん我々のエンジンも上がり、いつものテンションにもっていけたかな、と思います。参加された方も真剣に聞いて下さり、かつ適度に笑いに包まれる場面もあり、良い雰囲気の二時間となりホッとしました。
さて、講演会当日の大まかな流れは庄本ブログをご覧いただくとして、今回は私の担当部分である「親がやってはイケない五箇条」のお話を少しだけご紹介します。
もともとこの話は、‘小学生の親にありがちなNG集’としてお伝えしたことですが、どの年代の子どもさんにも共通する部分を含んでいると考えて下さい。
会の中で提示した五つとは…
①テストの点数の良し悪しで態度(機嫌)を変える。
②「ウチは理系が苦手な家系だから…」など負の暗示をかける。
③「○○なんて、暗記すればイイだけでしょ」のような発言。
④挑戦するハードルの限界を勝手に決める。
⑤すぐに効率の良いやり方を教える。
特に小学生ぐらいの子どもというのは、損得勘定抜きに純粋に勉強と向き合える年代のはずなんですね。
中学生になると急に忙しくなりますし、やれ「中間・期末テストで結果出さなきゃ」「内申に響くし…」など、変なしがらみが出てきてしまいますから。
そういう背景を踏まえたときに、幼少期にいかに子どもの知的好奇心を引き出し、本質的な勉強の喜びを少しでも与えてあげられるか──これが重要だと私たちは考えています。
この五箇条は一つひとつを詳しく話そうと思ったらいくら時間があっても足りません。
また来年度、別な講演でこのことに触れることがあると思いますので、今回はこの中でも⑤について少しだけ触れます。
非効率を恐れるな
効率的なことを教える。
このことの何が悪いの?と思われるでしょう。
もちろん、最終結果として自分で「そこ」にたどり着くことは何の問題もありません。
私が言っているのは以下のような場合です。
子:(学校の宿題をひろげ、何やら悪戦苦闘している)
親:(家事をしながら、チラチラとそれを見守る)
子:「う~ん、わからないなぁ…ブツブツ」
親:(しびれを切らしてのぞいてみると、とても効率の悪いやり方で計算をしている)
親:「ちょっと~、そんな要領の悪いやり方してるの?こうやってみなさいよ。ホラ、簡単にできたでしょ!」
子:「う、うん、わかった」
あ~要領悪い!と思うとついつい言っちゃうんですよね。
このやりとりが良い方に振れるか悪い方に振れるか、それはタイミング次第だとは思いますが、大抵は良くない方向にいってしまいます。
というのは、まず子どもの‘試行錯誤’を奪ってしまうということ。
どんなに面倒なやり方でも、一生懸命に考えている最中というのは、頭をフル回転させているんです。
その中から得られた経験や自分なりの思考法、見つけた法則…そういう正解にたどり着く以上に貴重なものを得られるのが試行錯誤という場なのです。
一見、非効率的で回り道をしているような営みの道中に、本当の宝は見つかるものなのです。
そうやって本物の思考力を積み上げていく段階を一気にスッ飛ばして、最短で正解を出せるメソッドのみを与える。
それは先々に待っている豊かな実りを捨て、目先の収穫を優先させることに等しい行為だと思いませんか?
もちろん、このようなやりとりの中で親(だけでなく教師など、我々大人すべて)は悪気など少しも無いでしょう。
むしろ、良かれと思って教えているのだと思います。
だからこそタチが悪いんです!
どこかで私たちが気づかなきゃいけない。
一段高い視点で見ないといけないんですよね。
だから私たちは、こういった何気ないことがとても害になっているということを自覚しなければなりません。
そうでなければ、「勉強とは、解き方を覚えることなんだ」という間違ったメッセージを子どもに伝え続けてしまうことになります。
もし、安易に勉強の「効率的なやり方」を求めるような気持ちや、「どうでもいいから早く解き方を教えてほしい」などの発言が、家庭内で日常の光景として見られたとしたら、それは限りなく赤に近い黄色信号だと思って下さい。
一番良いのは、試行錯誤の末、子どもが自分でベストな道を見つけるということ。
ただ、基本的にはそれが難しいから教師や親など導く者が必要なのです。
では、具体的にどうやって導いたらよいのか。
それはまたいつかお話したいと思います。
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