教育研究所ARCS

背景に流れる循環に身をゆだねる

教育・子育て

人間の細胞は60兆個と言われています。(37兆という説もある)

そしてそれらの細胞の古いものは死に、新たに分裂をくり返すことでその数を常に一定に保ちます。そのことを恒常性の維持(ホメオスタシス)といいます。

これに対して増えすぎた細胞が自ら死の引きガネを引くことをアポトーシスといいます。アポトーシスとはだから「細胞の自殺」といわれているわけです。
つまり、アポトーシスがなかったら細胞は無限に増殖をくり返すことになり本体(身体)を殺してしまうでしょう。

私たちの身体内部ではこのように「死」と「再生」のドラマがくり広げられているわけですが、細胞の立場から見れば自ら死ぬことによって全体を生き延ばそうとしているわけです。

フロイトは人間には「死の欲動(タナトス)」があると言いましたが、細胞レベルで言えばタナトスは生への欲動でもあると言いかえることができます。

さて視点を地球規模に拡大してみましょう。

地球を一個の生命体と考えれば、そこに住む人間を含めた全ての生命は地球の細胞と見なすことができます。であるなら、それら個々の細胞の生と死もまた地球という全体を生かすために必要なホメオスタシス(恒常性維持)の現れと言えるかもしれません。

古いものは死に新たな生命が生まれる。

こうして全体は新陳代謝をくり返しながら存続していく。一見変わらぬように見えても新陳代謝があるからこそ、どんなものも一定の姿を保っていられるのです。

ここで大切なことは自然(全体)は常にとどまることなく循環をくり返しているということ。あらゆる現象は一定のエネルギー循環の中に姿を現しているということです。

生と死だけでなく海が蒸発して雲になり雨となって川となる。その川は海に流れてまた雲となるをくり返すのもそうです。

当たり前のようですが地球環境にある以上、全ての自然はこのような循環の中にあるわけです。

実は人間も同じです。人間もまた地球で生まれた生命体である以上自然の一部であるからです。

だからこういえます。人間もまたこの循環に流れていれば物事はうまくいき、逆らえばうまくいかない。すなわち不幸ということです。

どんな現実も受け入れることで循環の波に乗る

では、この自然の循環に流れていくとはどういうことでしょうか。

それは起こる出来事、状況をとりあえず受け入れるということです。
私たちは自分に起こる出来事や周囲の状況に対してこれは良いとか悪い、あるいは好都合だとか不都合だとか自分目線で決めつけています。
そして舞い上がったり落ち込んだりとアップダウンをくり返しているわけです。

これらの心の動きは全て「流れ」に対する抵抗に他なりません。

私たちはいつも個人的視点からばかり見ていて全体を見失っています。一見マイナスな出来事であってもそれは全体の構図の中では不可欠なものかも知れないのです。

たとえばここに巨大な一枚の絵があるとします。

その絵は少し離れてみれば全体として見事にバランスのとれた美しい絵です。それが私たちの人生を表しています。ところが普段私たちはその絵の中のほんの小さな部分-数ミリ四方-に虫メガネを当てて、そこだけ拡大して見ているようなものです。これでは全体は分からない。
あるいはこの絵をジグゾーパズルだとします。パズルは完成して見れば美しい模様が表れることになっています。ピース(現実)は一枚一枚渡されます。でも「不都合だ」と言ってそのピースを受け取らなかったらどうなるでしょう。いつまでもパズルは完成されず、同じピースが延々と渡され続けるでしょう。

だからまずピースを受け取ることです。つまり現実を受け入れるということです。全体というエネルギー循環がもたらす贈り物を受け取るのです。いったんこの流れに乗れば現実は動き出します。次のピースが渡されたからです。

古いパターンを死なせて全体にたどり着く

このことを逆に言うなら、日々の現実が重苦しいなら流れに抵抗しているということ。循環を自分で止めていることに気づかなければなりません。「不幸」が目の前にあるのに見て見ぬフリをすることも循環を止める行為なので、やはり不幸があることを認めなければなりません。
でもそれはヤケクソになるとか、誰かのせいにして恨むということではありません。

批判や判断したい気持ちはいったん押さえて淡々と「確かに今の状況は不幸だ。不幸な現実は起こったと認める」と言えばよいのです。その上で「全体は私に何を学ばせようとしているのだろう」と自分に問います。
答えが帰ってこなくてもよいのです。性急に結論を出さず放っておきましょう。

後は自分のしたいこと、なるべく楽しめることをやって過ごすことです。適切な時期に答えはやって来ます。後からいつの間にかその正解を手にしていることに気づくかも知れません。

さらに大事なことを言います。

よくないことが次々と起こる。色々なことがうまく行かない。そういうときは「全体」が新しい生き方を促しているサインだといえます。

私たちは人生で作り上げ慣れ親しんだ生活パターンを変えようとしないものです。変化をひどく怖れているのです。
この「変化を怖れる」態度こそが実は最大の抵抗なのです。

物の考え方、価値観そして行動パターンはいったん身につくとなかなか変えられないものです。そしていつしかそのくり返しは生きる喜びを奪い、柔軟性を失った無味乾燥な人生へと導きます。水の流れは淀むと腐敗します。

だから毎日が何となく停滞気味だったり、うまくいかないことが続くのは、このまま行くと人生が行き詰まることへの警告と受け取ってよいのです。古い人生のパターンから抜け出て新しい生き方をしなさいという誘いなのです。

まさに細胞が自ら死なせるように人生の新陳代謝を促していすのです。

過激な言い方ですが、古い自分を死なせることによってより大きな可能性(全体図)が描けるのです。そう考えれば起こった出来事(不幸)にも感謝できるでしょう。

確かに変化は怖いものです。私にも経験がありますがそれまでのパターン捨て去り新しい未知に飛び込むには勇気がいります。まるで命綱なしに崖から飛び降りろと言われているような思いがするからです。

しかし思い切ってジャンプした先に見えるものは、それまで見たこともない美しい光景であるかも知れないのです。

なぜなら全体の流れに乗ることは、本当の自分に目覚めることであり新しい可能性に気づくことだからです。それは偉大な絵の全体像をかいま見ることでもあります。

だから循環に身を委ねれば至るところにチャンスを見い出すことができます。
つらい努力をしたり苦闘することなく自然に「やりたいこと」をスムースにこなしている自分に気づくでしょう。

人生がうまく行っている人。幸福に生きている人は皆そのように循環に流れているといえます。

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