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「愛」は求めて得るものではない

教育・子育て

愛は求めて得るものではない

私たちは普段自分を労わったり認めることがなかなかできません。

「自分はまだまだダメだ…」
「もっと努力して頑張らないと」

あるいは
「あのときもっとこうしておけば…」
「どうしてあんなこと言ってしまったのか」

このように未来や過去を心配したり後悔して生きています。
そして自分に厳しくつらく当たる、自分を責めることで「次は頑張るぞ」とモチベーションを上げようとします。

で、また「うまくいかない」→「落ち込む」→「反省(後悔)」→「未来へ向けて頑張る」→「うまくいかない」のループにはまります。

このループは「現在の自分を否定している」限り永遠に繰り返されます。出発点が自己否定ならその先も否定的な「現実」が続くからですが、多くの人はそこに気づいていないように見えます。

「じゃ、現在の自分を肯定するだけで何でもうまくいくのか?」

そう聞くなら私はこう答えます。

その通り。うまくいきます!!

そんな単純なことで本当にうまくいくのか。
そんな簡単なら誰もが皆うまくやっているのでは…?

そうです。そんなシンプルなことなのに多くの人は実行していないから、うまく人生が回らないのだというのが私の回答です。

もし自分を労わり、思いやり、認め受け入れ愛したらその人は多分最強の人生を歩むでしょう。

Aさん(うまくいっていない人代表):信じられない。そもそも思いやりだとか愛だとか、言ってることが怪しい。あんたは宗教家なのか。

:いいえ、ただのオッサンです(笑)。
Aさん:自己否定というが、人間は現状を肯定ばかりしていられないよ。世の中には改めなきゃならないことがいっぱいあるし、自分を甘やかしてたら向上心も育たず進歩もない。

:世の中に正すべきこと改善すべきことがあるのはその通りです。だが、私の言う自己を認め思いやることと向上心を持ち改革し、進歩を目指すことは全く別の話です。
ここをゴッチャにしないでください。

Aさん:おう、そこを説明してもらいましょ。
:私たちは子どもの頃から努力が大事、上を目指して頑張れそのためには今のやりたいことを我慢するよう教えられてきました。
「将来に備えて今を耐える」という考え方です。

Aさん:大切なことじゃん。好きなことばっかやってたらあとで困るものな。俺も勉強サボって入試落ちたし。あのときもっとやっとけばと今でも後悔してるよ。
そうすればもっといい人生送ってたかもしれない。
:あなたがかつて入試に落ちたこと、今人生がうまくいってないことは関係があるのでしょうか。勝手に結びつけているだけでしょう。過去は過去。現在は現在です。

それより問題なのは、将来のために今は苦しむべきだというメッセージつまり「今のお前はダメだ」と思い込まされているせいで、自己肯定感をもてないでいることです。
自己肯定感の弱さは、自信のなさにつながり幸せを感じにくい体質となります。
従ってもし社会的に成功しても「何かが足りない」という虚無感に囚われてしまいます。

私たちは内部にある虚しさから逃げたくて常に外側に幸福を見出そうとします。
「流行のモードを身にまとう」「最新の機器に包まれる」「見栄えの良い仕事や金銭的目標を追い求める」
こうして他人が羨むような幸福の条件を誰もが求める。
本当の幸福感が得られないので、他者目線の幸福らしきモノを身にまとえば「幸福というもの」になれると思っているから。

私たちは自分で自分を認められないから他人の評価、社会からの評価を求めてしまう。要するに承認欲求です。
周りを見てごらんなさい。誰も彼もが承認欲求のとりこになっている。そして求める評価が得られないとすぐにまた落ち込み、自分を責める。
「こんなに頑張っているのに誰も認めてくれない」
「私を分かってくれない。世の中は理不尽だ」
というわけです。自分の評価を他者に依存する限り、幸せは他者次第ということになり自分のパワーは奪われていきます。

幸せは外から与えられるものではない

:ここでハッキリ言わせてもらいますが幸せは自分の外側から与えてもらうものではありません。自分を幸せにできるのは自分だけであり外側の条件ではありません。

「良い会社に入りもっとよい仕事につけたら」
「家族がもっと理解してくれたら」
「お金持ちになったら」
「あの人と結婚できたら」

これらの条件を満たしたら幸せになれるのではありません。一つのきっかけにはなるかもしれませんが、すぐにまた「こんなはずでは…」と新たな条件探しの旅に出ることになります。

Aさん:何か一方的にまくし立てられてるような…。で、要するにどうすればいいわけ?
自己評価を上げればいいってこと? それで解決? 本当にそれでいいの。いくら自己評価を上げる、自己を肯定しても他人との関係で決まることも多いよ。
仮に自分を認め肯定しても他からダメ出しされたらやっぱり幸せじゃなくね?

この前も会社のプロジェクトで俺が出した企画、最初は上司が「これでいい」と言ったのに直前になってやっぱダメとボツにされた。すごく悲しかったし腹が立った。
やっぱ上下関係あるし、上司がダメと言ったらダメである以上他者次第、状況次第ってことあるじゃん。自分の思い込みだけで全てがうまくいくことなんてほとんどないよ。あんたの言うことは少し現実離れしてるよ。

:超具体的なお話ありがとうございます。
Aさんのお話は多くの人が思うことではないでしょうか。
なので多くの人に伝わるように少し一般化してお話します。

多くの人は自分の外側の「現実」を自分ではどうすることもできないものだと信じています。外側にパワーを明け渡しているといえます。その結果ある種の「無力感」にとらえられています。「自分じゃどうすることもできない」と。

しかしこれは自分の人生は自分で創り出すことができるという、主体的な創造能力を放棄していることになります。コントロール権を他者(ヒトやモノ、状況や出来事など外側の環境)に明け渡している状態ということです。

自己肯定感に乏しく、他者にコントロール権を譲り渡しているなら「ほら、やっぱり」という現実が次々と起こるのは当然なのです。

少し想像してみてください。

あなたが生徒だとして、教えてくれる先生が自己肯定感に乏しく従って教えることに自信もなく、迷ったときにきちんと導いてくれる確信も持てないとき、あなたはその先生に従うことができるでしょうか。

あなたが善良な市民で、犯罪被害にあったとき自信なげな警察官を信頼できるでしょうか。

自信のない経営者にスタッフは安心してついていくことができるでしょうか。

逆に、自分を認め受け入れている人すなわちしっかり自己を肯定できている人は独特の安定感があります。そういう人は「今のお前はダメだ」と自分を否定せず「今の自分でオッケー」と自分自身であることに充足しているからです。

彼は自分の生き方に他者の承認を求める必要性を感じていません。

そして過去を後悔し未来を心配する人と違って「現在」にしっかりと足場を築いています。現在、今この瞬間に軸足を置いているので、仕事にしろふるまいにしろその人には「行動の質」が伴います。

仮に失敗やミス、見通しを誤ってもいろいろ他者の目を気にしたり無駄に自分を責めたりせず淡々と修正し、さらに改善していくでしょう。

結果として人生はうまくいきだします。

人間関係もうまくいきます。自分を愛し認めている人はその肯定的エネルギーを周りに放射し、自ずと周囲の人たちも勇気づけられ元気づけられるからです。

自分を肯定することは決してエゴイズムではありません。自己満足的な居直りでもありません。本来の自分という「ありのまま」を思い出し、その自分をこそ大切にし、慈しみ、敬うからこそ他者のありのままを尊重できるのです。

前回も言った通り、自分を愛する人こそ他者を愛することができるのです。その逆はありません。

時折、自分を犠牲にする―つまり自分を愛せない―ことで他者の愛を得ようとする人がいます。自己犠牲こそが愛だと信じている人です。

何度も言うように外側から「愛」を得ることは他者依存であり、さらに自分を犠牲にするから愛をくれというのは取り引きであって真の愛ではありません。真逆です。

自分を認め愛することに抵抗を感じる人が多いことは認めます。しかしその「抵抗」は子どもの時からの繰り返し刷り込まれてきた条件づけでありプログラムです。

本当は自分を認めることは難しいことではありません。それを難しいことにしないでください。
「人生はうまくいかないものだ」「今の自分ではダメだからもっと頑張ろう」 そう思うことこそが社会的文化的に条件づけられた思考形態だと気づきましょう。

気づいたうえで、本来の自分の特質―得意なことや好きだったこと―を思い出し自分への肯定感を取り戻してください。

本来のあなたは素晴らしい面をたくさん持っているはずです。子どものころ、夢中になっていたもの熱中していたこと、得意だったことを思い出してください。それらの一つでも今、再びやってみるとそのことが実感できるかもしれません。
「そんなことでは食っていけない」とか「とにかく今は勉強だ」とか言われ、いつの間にかあきらめてしまったものにヒントがあります。

たとえば絵を描くのが好きだったら絵を描けばいい。ピアノが得意だったら弾いてみる。
ダンスに興味があったら踊ってみる。

そのとき内側に湧き出る感情を感じてみる。
それがそれ―自己肯定感―です。

仕事に役立てようとかプロになろうとかではなく、自分の特質を純粋に感じるためだけにやってみる。
誰でも違う特質、個性をもっています。
そしてそれはギフト―天からの授かりもの―です。

どんな些細な特質であれ、それを活かし切ることは必ず誰かのためにもなります。

それは純粋な喜びであり肯定的なエネルギーだからです。自分からあふれ出た幸福の波は自分を満たし必ず周囲に伝わっていくからです。

だから外に愛を求め探し回ることを止めましょう。

自分の内部に目を向け自らを満たす。

それが本当の意味で他者を愛することです。

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