先週土曜日、柏の葉カンファレンスセンターで、教育研究所ARCS、塾クセジュ共催の「私立高校説明会」が開催されました。来年からARCSがメインの運営を行うため、今回はクセジュで行う最後の私立高校説明会です。
私立高校説明会は、近隣の高校の先生方にお越しいただき、自校の特徴や理念についてお話ししてもらった後、我々講師が保護者の目線で鋭い質問をしていくという、高校情報の収集と学校の「本音」を知ることが出来る、一石二鳥な会です。ARCSの理念である「地域の教育力向上」のために、今年も様々な下準備を重ねてきました。私自身、高校の「本当の姿」を知ろうと、いくつかの学校に取材に行ってきました。今回は、いわば「取材後記」のような感じで、取材の過程で感じたことを書いてみたいと思います。
実績は万能の武器。されど…。
まず一つ目は、誤解を恐れずに言えば、「大学合格実績を抜きにすると、差別化できるポイントを持っている学校はそう多くない」ということ。私立高校は毎年スゴイ努力の末に、様々な取り組みを行っています。高校紹介パンフレットを読むと、そこかしこにこの取り組みの内容が書かれています。しかし、それらの取り組みのほとんどは「大学合格実績を出すこと」を目的としているのです。ですから、合格実績を抜いてしまうと、残るものはそう多くはありません。これはなにも私立高校を「合格実績偏重」と批判したのではありません。むしろ、そうせざるを得ない、それが当たり前になってしまう状況に対して、先生達も悩んでいることを取材して強く感じるのです。前回のブログ記事で「高校は何をするところか」という話を書きましたが、まさにそれを肌で感じる瞬間でした。
私立ならではのいいところ
私自身は私立の中高一貫校に通っていたため、実体験としては私立高校の生活しか知りません。私が通っていた学校は、世間一般には校則がとても厳しいことで有名でしたが、善くも悪くも強い「色」を持っていたように思います。文部省の定めた方針を大きく逸脱することが難しい公立高校に比べると、私立は強烈な色があってしかるべきですし、生徒の性格に「合う」「合わない」も当然出てきます。だからこそ私立はおもしろいのです。上手く「合う」ことができれば、色が強い分だけとても有意義な3年間を送ることができる、いわばクセの強い料理のようなもの。それなのに、最近の高校は努めてその「色」を消そうとしているように感じるのです。「こんな強烈な色では”ウケない”」と学校側が思い込んでいるようにすら感じます。でも、強い色を消してしまえば、同時に熱心なファンも消えます。すると、多数に受け入れられるのと引き替えにコアなファンを失い、その結果「one of them」に成り下がってしまうでしょう。クセの強い料理は、そのクセが強いほど「美味」になります。
クセの強い料理愛好家としては、シェフが自主規制してマイルドにアレンジしてしまう現状がちょっと残念です。
みんな変わりたいと思っている
一般的に「学校」は「役所」と並んで”保守”の象徴のように思われています。できることならなにも変えたくない、今のままでいたいと変化を拒むイメージがあります。しかし、実際に取材をしてみると、どの学校も切実に「変化」を求めていました。何か新しいことをやってみよう、学校をよくしようという姿勢をストレートに出して、時には我々にアドバイスを求めてくれることすらあります。決してポーズではない真剣な姿勢には頭が下がります。それと同時に、心の底から応援したい気持ちになります。ARCSで少しでもその手助けができればいいなぁ、と思いを新たにした説明会でした。
コメントはお気軽にどうぞ