シリーズ教育を斬る!第2回「アートと自由と学校教育と」
本企画は、教育研究所ARCSが指摘する「現在の小学校から大学までの教育の問題点」「今後の日本にはどのような教育が必要か」という点について、各界で活躍する方の視点から意見を伺うものです。
子どもたちを取り巻く教育環境に鋭く斬り込むことで、多くの方への参考となれば幸いです。是非ご一読下さい。
ゲスト:オクダサトシ(ダンスカンパニー『CONDORS』メンバー)
聞き手:池村卓人(教育研究所ARCS教育事業部長)
ゲストプロフィール
CONDORS公演活動の他に、2016年3月まで某有名大学付属高校で美術の非常勤講師として勤務。私池村の勤務している塾の広報部スタッフが知り合いであることから紹介を受け、さらにたまたま高校時代に美術を直接教わったという職員もいて、どんな方だろう…という好奇心が大きくなり、取材をお願いしました。とにかくデカい方です。
CONDORS Dance Company(http://www.condors.jp/index.html)
美術講師の視点で見えてくる子どもの変化とは
―失礼ながら、今回の取材のお話があって初めて「コンドルズ」のことを知るきっかけになりまして、動画を拝見しました。すっごく面白いですね、人気がうなぎのぼりなのも納得です。
オクダ:いえいえ、そんな(笑)。
オクダ:藝大の大学院を出たときに、実はその先が決まっていなかったんですよ。で、たまたまその学校で教師をされていた知り合いの先生が「非常勤が一人ほしいからやらないか」って。だからもともとは教師をやるつもりは特になかったんですけど(苦笑)。
―じゃあ結構長くやってらっしゃるわけですね。何年間になります?
オクダ:21年間になりますね。でも今年でそっちは辞めることにしたんですよ。
―え!? そうなんですか。それはまたなぜでしょう。
―どういうことでしょうか?
オクダ:「こうやって描けば点数もらえますか?」とか、そういうことばっかり訊いてくる子が多くなりましたね。そういう部分で正直うんざりしてきたんです。
─あぁ…そういうことですか。
オクダ:昔は何か課題を与えると、それを義務として捉えるんじゃなくて「なんとか面白いモノしてやろう」という感じで取り組む学生が結構いましたね。テーマは何でもいいって言ったら自分の歌をテープに吹き込んで表現した子もいたし、変な仮装をして先生方と記念撮影をして作品にしたり、こっちが何も言わなくても自由な発想力を発揮していましたよ。
―美術をはじめとする技能教科こそ、‘点数’という利害関係なしに、思う存分オリジナリティを発揮できる場ですもんね。それなのにその現状は悲しい…。
オクダ:もちろん、全員が全員そうではないですよ。今でもこの学校特有の‘バンカラ気質’というか、なかなか面白い子はいます。そういう子には、自分のコンドルズの活動の話なんかも聞かせたりしています。