教育研究所ARCS

シリーズ教育を斬る!第2回「アートと自由と学校教育と」

大人こそのびのびと!

聞き手:池村─最後にオクダさんから今の大人たち、特に教育に携わる人たちに向けて一言いただきたいのですが。

オクダ:ん~特にないですね(一同爆笑)。

─そんなぁ(苦笑)。

オクダサトシさん一同爆笑

オクダ:まぁ、公の教育ではなかなか難しいかもしれません。逆に理念のしっかりある私塾のようなところなら創造性を育ててくれる場所もあるかもしれません。実は僕の妻が特別支援学校の教師なんですよ。それで障害を持つ子どもに美術を教えるための研修に妻が行くというんで、僕も見学に行ったんです。正規の美術教育を受けず独自の表現で創作したものをアウトサイダー・アートというんですが、その研修です。

─つまり障害があって、いわゆる通常の方法論を教わっていない子たちに、自由な発想で絵を描いてもらうというわけですね。

オクダ:そうです。ちょうど先週見学に行ってきまして、ダウン症の子たちが絵を描いていたんです。その子たちは非常にのびのびと絵を描いていました。で、僕以外にもいろんな学校の美術教師が見学に訪れていたんですが、彼らは「どうやって教えているんですか?」って聞くそうです。

─教える‘方法’があると思っているわけですね。

ゲスト:オクダサトシオクダ:教えないからのびのびと描けているということが理解できないでしょう。アトリエの所長の先生も「わかってないなあ、この人たち。教えるからダメなのに」って言っていましたけど。その先生は、「大切なのはとにかく教えないこと。そばにいて、見守ってあげて…そうするとダウン症の子たちの中で‘できた!’っていう瞬間があって、そうやって作品が出来上がる」とおっしゃっていましたね。

─大人が‘教えない勇気’を持たなければいけませんね。

オクダ:ジャンルによりますけどね。体育の場合なんかはメソッドを教えないで適当なやり方に任せると怪我をしちゃうこともありますから。その点、美術は自由にやっても体壊さないから。あ、でも時々精神が壊れちゃうか(笑)。

─私も含めて今の親世代は画一的な教育を受けてきたから、なかなか親も固定観念を捨てきれないのかもしれません。

オクダ:一つ言えるのは、どの親も子どもに対して「のびのびと育ってほしい」と願っているとは思うんです。その原点に立ち返って肩の力を抜き、自分の子の個性を見極めればいいんじゃないですかね。その上で早くから受験させるならそれもいいでしょうし、表現活動をさせたければそれでいいと思います。選択はいろいろできる世の中ですし、その選択に親子とも自信も持てると思います。まぁ、大人がのびのびと生きていればいいんですよ。

─今日は楽しいお話、ありがとうございました。

2016年3月15日