教育研究所ARCS

シリーズ教育を斬る!第1回「法曹界から見る現代教育」

エンディングトーク~受験について本音は…~

―途中の雑談でも触れましたが、西田弁護士は高校時代にあれだけ勉強に不真面目(笑)だったのに、今は立派に法曹界で活躍されています。今の子どもたちにもどうにかそういう気持ちになってほしいのですが。

西田:今の子どもたちって、結構マジメなんですか?

―そうですね。少なくとも我々の母校である東葛飾高校に通っている生徒たちを見る限り、良くも悪くもとんでもない奴っていうのは少なくなっていて、一言で言うと堅実な考えの子が多いですよ。

西田:正直、三年間遊べばいいのにって思いますけど(笑)。

―我々世代と比較すると、今は大学進学に関しても現役志向が強いですからね。現役で行けるなら第二志望以下の大学でもあまり迷わずに進学するケースが増えてきました。

西田:もちろん、家庭の経済状況もあるわけだから無責任なことは言えないけれど、昔は行きたい大学があるなら浪人は当たり前みたいなところがありましたけどね。女子でも浪人している子が多かったし。

聞き手:池村―どちらかと言うと経済状況の問題というよりも、現役率が高くなっている中で、「人に後れをとる不安」や「リスクを避けたい気持ち」が強まっていると感じます。私の本音を言うと、先ほどの成績の話もそうだけれど、一度どん底までいって這い上がってきたり、紆余曲折を経てきた人間の方がパワフルだし面白いんですよね。だから浪人ぐらい経験してみましょうよ、という考えです。こんなことを言うと「塾講師としてどうなの?」と思う人もいるでしょうけれど。

西田:私もね、成績ビリでどん底を味わって、その挫折をバネにして勉強したパターンだから同じ意見ですよ。コンプレックスは力になるから。その手のコンプレックスはプラスになるから味わった方がいい。

―親御さんの立場で考えれば、「そうは言っても…」という気持ちになるのはわかります。でも、常に‘一見安全な道’を選択し続けることや、親が変に‘転ばぬ先の杖’を差し出す環境であることほど危険なことはない、というのが多くの子どもや親を見てきて強く思うことです。

西田:自分の頭で考えて行動するっていう人間に育たないと、冒頭で話題にしたような「判断する能力」や「バランスをとる力」が養われませんからね。そのような力をつけるためには、「安定こそが幸せだ」という思考から脱却することも必要だと思います。特にこれからの時代は。

―今日は実りある話ができました。貴重なお時間、ありがとうござしました。