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大学の附属校とそうでない学校ではどちらがよいか

私は「附属校ではない」学校を薦めます。

回答者:庄本 廉太郎

この質問は、とてもよく聞く話です。「どの学校がよいか」という選択とは違い、この選択は基本的に「人生において何に価値を置くか」という問題と密接に関わってくるものですので、明確な答えを出すことはできません。よって、ここでは大学入試の指導をしてきた一講師として、私見を書いてみたいと思います。

ストレートに言うと、私は「附属校ではない」学校を薦めます。全国で最高峰の附属校である早慶の附属であってもそれは変わりません。

付属校が選ばれる理由

一般的な附属校のメリットとしてよく言われるのが「受験を気にせず高所に立ってクオリティの高いカリキュラムの授業を受けることができる」というものです。確かにそれはその通りかもしれませんが、ポイントはそのカリキュラムが「与えられたもの」であるということ。

一方で大学入試に向けた勉強は「自分で構築するもの」です。目的を達成するために自分で頭をひねって作り出した大学入試の勉強は、確かに効率の面ではあまりよいものではないかもしれません。しかし、どちらがより身につくかと言われれば、ごく平均的な生徒の場合、明らかに自分で試行錯誤したもののほうでしょう。

さらに、この“クオリティの高いカリキュラム”の実態は、ほとんどの場合大学入試に向けた勉強よりも質・量ともにレベルが低いのです。

次のよくある理由は、大学入試のつらい経験をさせたくない、というもの。これも確かにその通りです。中学入試、高校入試と異なり、大学入試には「浪人」があります。受けた学校すべてに不合格になり、次の一年を完全な宙ぶらりんのまま過ごす可能性があるのです。そこから来るプレッシャーは高校入試の比ではありません。私が教えていた中にも精神を病む寸前まで苦しんだ生徒が何人かいます。しかし、逆に言えば、それほどキツい試験だからこそ社会で価値を認められますし、実力も付きます。この「実力」は、以下に挙げる二点です。

計画力と知識の習得

まずは計画力。明確な期限に向けて年単位で計画を立てて準備を行う方法は、年を経れば自然と身につくわけではありません。大げさかもしれませんが、一種の専門技術といってもよいでしょう。医者や弁護士のようにわかりやすい専門性はありませんが、何か大きなことをする場合には絶対に必要になる力です。にもかかわらず、人生においてこの力を養う機会はほとんどありません。その貴重な機会こそが大学入試なのです。

次ぎに知識の習得。高校入試までに学ぶことは、いわば「常識ある大人」であるために必要な最低限のものです。太陽の周りを地球が回っている、織田信長とはだれか、簡単な文字式の解法、など、まともな大人ならば知っていて当たり前のことばかり。しかし、大学入試で問われる知識はそうではありません。日常生活において微分・積分を自由自在に使いこなす力は必要とされませんが、専門家の世界においては最低限必要な能力です。生徒がある分野のプロとして生きていく場合、大学入試で苦しみながら習得した知識は「その分野の最低限」ですから、これがない、あるいはあやふやだと使い物になりません。

このような「実力」はなにも社会に出てからのみのものではありません。大学に入学した直後から、この「実力」を備えた生徒は有利です。大学に入ると授業内容の難度は跳ね上がり、勉強の自由度も大きくなります。勉強しようがしまいが何も言われない環境の中で、計画的に物事を進める力を持った生徒と、それを身につけられなかった生徒では、まず差が付きます。さらに、高等学問、つまり専門分野の入り口である大学の授業は、大学入試で得た「その分野の最低限」の知識を持っていなければ理解が難しくなります。最低限の知識を持っているのといないのでは大きな差になるわけです。

もちろん、このような実力は附属校であっても身につけることは可能ですし、身につけている生徒もたくさんいます。しかし、大学入試を経た生徒のほうが身につく「確率が高い」のも当然のことでしょう。なにしろ受けているプレッシャーが違うわけですから。よって、確率的に考えて、「大学入試が必要となる」学校への進学を私はオススメします。

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