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【10月】目標を明確にして 初志を貫徹すべき時

受験カレンダー

残暑もようやく落ち着き秋らしくなった今日この頃だが、君たち受験生にとっても今が一番大切な時だ。何が大切かというと、目標をしっかり見据えて受験勉強に邁進できるか、それとも目標が定まらずフラフラと揺れ動いたままで終わるのか、今まさにその瀬戸際に立っているからである。

3ヶ月後には入試が始まる。だから入試の成否はこの3ヶ月間、いかに自分のペースで受験勉強に集中するかにかかっている。10月はまさにそのカギを握る月なのだ。今までうまく乗りきれなかった人も今度こそ最後のチャンスだと思って気持ちを切り換えて欲しい。今からがスタートなのだ。

受験生の陥るマイナス要因

今回はあまり細かいことをクドクド言うのはやめにする。そのかわり毎年この時期に見られがちな受験生特有のマイナス心理について述べてみる。君たちは決して以下のような心理状態におちいってはならない。

1.希望と不安が交錯し、ついに不安が勝ってしまう

誰でも大きな仕事を前にすると、希望や期待がふくらむ一方、不安や恐れもまたわきおこってくる。入試も同じで、受験生は受かりたい期待と万一落ちたら……という不安の両方にとらわれる。

しかしこれは当たり前であって、誰でもがそうなのである。むしろ全く不安や恐怖を感じない者の方が危険だと言える。ボクサーでも相手に恐怖心をもたないタイプはチャンピオンになれないと言われる。戦場の兵士で勇敢と称えられる者は戦死率が高い。入試本番でも時々、「先生、全然緊張しません」という生徒は合格しないことが多い。

多分こういうタイプは先天的にリスク感覚(危険を察知して回避する)が乏しいのだろう。むしろ適度の不安や恐怖は必要なのである。不安や恐れがあるからこそ、失敗しないように努力しようという態度が生まれるからだ。

問題はその程度なのだ。悪いのは不安や恐怖それ自体ではなく、不安や恐怖にとらわれて、手がつかなくなることである。リスクを回避するために払うべき努力を、不安にとらわれて放棄することこそが最悪なのだ。よく女子などで「先生、落ちたらどうするの!!」と訴えかけてくる子がいる。こういう子は不安を口にすることで、不安の中に逃げているのである。変に聞こえるかもしれないが、本当だ。こういう子に「だから一生懸命やればいいのだ」と言っても、「どうしよう」をくり返す。「そのためにスベリ止めも受けるのだから」と説得すると、「でもそこも落ちたらどうするの」とキリがない。

結局堂々巡りなのだ。どうしてそれが逃避かというと、そういう子は心の中でこう思っているのである。『このままでは受からないのではないか。どうせ受からないのなら、勉強したって無駄なのでは…』というように、勉強しなくてもすむ理由を探しているからだ。

従って大切なことは不安を感じないことではなく、不安をバネにして成功を勝ちとることである。不安を原動力にすると言ってもよい。

落ちるのは不安だ→落ちたくない→受かりたい→そのために勉強する→効果的に勉強するにはどうすべきか、というように不安から出発して前向きな方向を常に模索することが必要だ。そのためにも自分の志望校、目標校を毎日意識し、その目標を突破する意志を日々強めなくてはならない。志望校に受かりたいという強い気持ちが、シンプルだが最も効果的な不安克服法なのである。

2.学校の三者面談やウワサなどで志望校を変えたがる

学校の方針は基本的に安全策である。つまりできるだけ受かるところに行けということだ。逆に言えばチャレンジ精神を持つなということだ。学校や担任によっても違うが、「無理して受けても落ちるぞ」とか「難関校へ行ってビリになるより、ワンランク下げてトップになる方がいいぞ」などと言うことが多い。

ただでさえ不安な受験生や親にとってこれらの言葉は魔法のように甘く響く。なぜなら、ワンランク下げればそれだけ楽になるかのような錯覚をうえつけるからだ。しかし錯覚は錯覚である。考えてもみて欲しい。どうしてワンランク下げたら楽になるのか。必ず受かる保証はあるのか。偏差値が3か4下がることで、具体的に受験勉強のどこの部分がどういう風に楽になるのか。

下げようが下げまいが、入試は受かるか落ちるか2つに1つしかないのである。つまり下げたことで、楽→勉強に熱が入らない→成績はもっと下がる、という結果しか生まれようがない。楽になるのではない。さらに大きな苦痛(直前にまた1ランクか2ランク下げなければならない)が待っているだけなのである。

もう1つ。この時期になると、「○○高校は風紀が乱れている」「不良が多いらしい」とか「○○高校は××中学の生徒を合格させないらしい。理由は昨年××中学出身者が問題を起こしたから」などといういかにももっともらしいウワサが流れ出す。これらは生徒の間でささやかれることが多いが、親の中にも本気で信じる人もいるので困る。これは昔流行った「口裂け女」と同類の根拠なきウワサで、受験生の不安が生み出す不思議な現象である。(学校の教師が何らかの意図のもとに流すこともある。)

これも結局は志望校回避、受験勉強から逃れたい、つまり楽したい、逃げたい願望の変種なのである。君たちはこのような風説に惑わされてはならない。

3.理社の勉強がおろそかになる

これはこの時期に限らず、私立入試の前後にもみられる。どうしても英数国が中心になって、理社を後回しにする。理由の1つは理社は暗記教科だ→覚えるだけでよい→後でも間に合う、という心理なのだろう。しかし、理社は暗記教科ではない→従って後からでは間に合わない、というのが正解である。そもそも教科に暗記教科などというものはないのである。

理由については散々言ってきたのでくり返さない。とにかく絶対後回しにするなということを強調しておく。

以上受験生のおちいりがちなマイナス要因について述べた。これらのマイナスを避けて受験勉強に邁進して欲しい。細かい計画、方針は自分で考えてもらいたい。一応以下に今月のポイントだけあげておくので参考にしよう。

今月のポイント

①塾からの課題を自分の勉強計画にうまく取り込んで、ためずにやる。

②塾の宿題(授業の予・復習)をこれまで以上にしっかりやる。

③塾のない日は学校から帰宅したらすぐに勉強にとりかかる(夕方勉強)。

④塾で勉強したり先生に質問するのはおおいに結構だが、本当に能率が上がっているのか、勉強したつもりで自己満足になっていないか自分でチェックする。

⑤秋期特訓は実力がつくチャンスなので、漫然と出席するのではなく疑問点を確実に解決するつもりで臨む。

⑥学校訪問(文化祭なども見たい)などをして志望校への意欲を自ら高める。

⑦志望校の変更はしない。したい時は塾に相談する。

⑧毎月の県立そっくり模試や駿台模試を短期的目標にする。

贈ることば

辛くなったら、「味方(自分)が苦しい時は敵(ライバル)も苦しいのだ」という言葉を思い出そう。