教育研究所ARCSAct Research Counsel Store

教育・子育て

今どきの中学生に勉強の意義をマジメに語る【前編】

2015.04.24

勉強する意義

昨日のことです。

以前、といっても一年前まで代表を勤めていた塾へ行って来ました。

教室長の要請で、その教室の中2生に「勉強の意義」について語って欲しいと言われたからです。

久しぶりの中学生との対話。緊張しました。

何しろ相手は中2生。ナマイキ盛り…もしかしたら中2病患者(笑)かも…。色々思考が巡ります。
しかもテーマは「勉強の意義」!

ちゃんと話を聞いてくれるのか。
ヤジが飛ぶのではないか(笑)
退屈な話だから途中で席を蹴って出て行く(笑)のではないか。

マァ、心配してもキリがないので開き直って臨むことにしました。
逆に「勉強することの大切さ」を正面切って話そうと決意したら、少し落ち着きました。

で、授業後に一ヶ所に集められたヤンチャ少年たち(?)のもとへ。

その第一印象は…。

賢そう! メガネをかけた子が多いせいかな。

コンバンワ!と私が呼びかけると「コンバンワ!」と一斉に大きな返事。

なかなかいいぞ。

さっそく自己紹介をして本題へ。

私: 今日は皆に、勉強の意義について話に来ました!
生徒たち: シーン

私: 君たちには少し難しい言い方をするかも知れませんが聞いてください。
生徒たち: シーン

この「シーン」は無反応とか冷淡の「シーン」ではなく、真剣に集中している「シーン」です。

私: なぜ勉強するのか、大人がきちんと説明するのをあまり聞く機会がないかも知れませんね。親からなぜ勉強するのか、勉強することの大切さについて聞いている人はいますか。手をあげてください。

すると一番後ろの女の子がサっと手をあげます。

女子生徒: ハイ。勉強の大切さは、一生懸命努力すること。そのプロセスを経て得る達成感にあると言われました。

うわ、いきなりの模範解答!

私はちょっとあわてました。

だって教室長からは、この生徒たち今イチやる気が感じられないし集中力も途切れがちと聞いていたからです。

しかし、冒頭から皆すごい集中力。全員が真剣な眼差しでこちらを凝視している。

私の予想では、きっと会場がざわついているだろうからまず静かにさせて、それから話そうと思っていたのに、のっけから水を打ったようなシーンといきなりの模範解答。

出だしからすっかり調子の狂った私は、それでも必死に態勢を立て直し語り始めたのでした。

以下はそんな私の「勉強する意義」についての再録です。

知識は人間にとって重要な道具


さて今日のテーマは「勉強の意義」でしたね。私の思うところ、それは2つあります。

1. 知識を得ること
2. 思考力をつけること

この2点です。

まず1の知識ですが、その話をする前に確認です。他の動物(生命)と比べて人間にしかない特徴は何でしょうか。人間を人間たらしめているものとは何でしょう?

そう。言葉をもつことと道具を使うことですね。で、言葉もまた道具といえます。
どんな道具?

それは経験を効率的に伝達するための手段、道具ということです。
たとえば1人の人間が一生かけて様々な経験を積んだとします。その経験をたった1行か2行の言葉(文章)にできたらどうでしょう。

とても便利ですね。そしてそれが1人の人間の経験ではなく、何百何千人の長い経験とその経験から得られる智恵だったらどうでしょう?
人はやがて文字を発明し、経験と智恵を蓄積し始めます。この経験と智恵の蓄積を知識といいます。情報といっても良いでしょう。

このように人の一生分の経験も1行で伝えられるようになると、私たちはこの「知識」を使って逆に新しい「経験」さえ生み出せます。

そしてその「新しい経験」はさらに「知識」となって蓄積されるのです。

こうして私たちは、一から試行錯誤することなく先人の経験と智恵を知識化することによって効率よく世界を拡大し続けてきたわけです。

知識は暗闇を照らす灯


ここで少したとえ話をしましょう。

知識を持たない人とは、いわば洞窟の中で暮らしている人です。洞窟の暗闇の中で手探りで生きている光景を想像してみてください。

洞窟の中はジメジメして、足元には水たまりがあったりヤブがあったり、岩や石ころが転がっているかも知れない。犬のウンチもあるかも知れない(笑)。
この暗く狭い世界で、手探りでウロウロしている。人とぶつかって争いになるかも知れない。
水たまりにハマったり、気味の悪い虫やヘビに噛みつかれたり犬のフンを踏んだりと気の休まるヒマがない。

しかし、そこにライトを持った人がいて光を当てるとどうでしょう。

障害物を避け、歩きやすい道を見つけ目的地へ最短で行けるでしょう。
そのライト(灯り)こそが知識なのです。

やがてその灯りの方角はもっと明るい光、すなわち洞窟の外の世界へ導かれていくでしょう。

そこで気づくのです。洞窟の外はもっと広大で色彩あふれる光の世界だったことに。

そしていったん外の世界を知った人は再び洞窟に戻ろうとは思いません。

知識という灯りを求めて努力すると、ある時視野がパーっと開ける瞬間がある。世界が拡大したような感じがします。
その時今まで暮らしていた自分の世界が、いかに小さくいかに些細なことで悩み苦しんでいたかと気が付くのです。

そしてその光に満ちた広い世界が、洞窟に比べてどんなに自由であるかが分かります。

勉強することの重要性、そのもっとも大きな意義はこの「自由の獲得」にあるのです。

 

次回に続きます。